物流倉庫に保管する効率を上げるには?保管の方法を解説

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物流における保管とは、倉庫などで預かった商品に劣化や破損、紛失などのトラブルが起きないよう正しく管理することを指します。数量と品質を維持しながら保管するだけでなく、必要な商品を必要なタイミングで素早く出荷できる体制を整えることも重要です。

本記事では、物流倉庫における保管の役割や保管を効率的に行うためのポイントを解説します。物流倉庫での保管業務を改善したいと考えている方は、参考にしてみてください。

■この記事でわかること

  • 物流における保管の役割
  • 倉庫保管の考え方
  • 倉庫保管を効率的に行う方法

 

物流における保管の役割

物流における保管には、倉庫などの中で商品を適切な温度・湿度の環境に置き、品質を維持する役割があります。それと同時に、商品の盗難と紛失を防いで、顧客からのクレームや費用損失の発生を防ぐことも重要な役割です。商品ごとの特徴に合わせて最適な環境で保管することで、消費者のもとへ配送されるまで品質のよい状態が保たれ、顧客満足度を高められるでしょう。

また、適切な保管により、生産者と消費者のあいだにある時間・距離のギャップを埋めることも保管の役割の一つです。商品のなかには、頻繁に安定して出荷されるものや季節、流行によって出荷量が変化するものなどがあり、商品の需要に合わせて適切な配置で保管しなければなりません。

倉庫における保管の考え方

倉庫における保管では、以下2つの考え方が重要視されます。

  • 適切な状態で保管する
  • 庫内管理(ロケーション管理)を行う

「品質の維持」「生産者と消費者のギャップを埋める」という役割を果たすため、商品に合わせた保管状態を選択するとともに、適切なロケーション管理を行う必要があります。それぞれ詳しく見てみましょう。

適切な状態で保管する

倉庫保管では、商品の荷姿や物量に合わせて適切な保管形態を採用しなければなりません。保管方法としては、倉庫の床やパレットの上に商品を直接置く平置きのほか、ラックなどの棚を使用するやり方などがあります。

また、商品に合わせて保管場所の湿度や温度などを管理することも必要です。生鮮品・冷凍食品・衣類・電化製品など、商品ごとに適した湿度、温度は異なります。適切な保管状態でなければ、商品の劣化や破損を招く可能性もあるため注意が必要です。

Hiroki
Hiroki

温度管理よりイメージしにくい湿度の管理が必要な実例をご紹介します。衣類、カーテンなどの布類は湿度が高いとカビが生える恐れがあります。一方、電化製品は湿度が低すぎると静電気が発生して故障する恐れがあります。

庫内管理(ロケーション管理)を行う

ロケーション管理とは、倉庫内の商品の保管場所に住所を設定して管理する方法です。所定のエリアに商品を保管することで、倉庫内のどの場所に何が置いてあるのかがすぐに把握でき、倉庫内業務の効率化につながります。

ロケーション管理の方法は、固定ロケーションとフリーロケーションの2つに大別が可能です。保管したい商品の特徴や倉庫内の状況に応じて、これらをうまく活用することが重要になります。

 

固定ロケーション

固定ロケーションとは、商品の種類や品番、ロット番号など一定のルールに従って商品の格納場所を決める方法です。年間を通じて常に保管物量が安定している商品や、種類・品番などカテゴリが多い商品に適しています。

固定ロケーションのメリットは、ルールに基づいて保管場所が決められているため、作業効率がよくなるという点です。商品の場所を覚えやすく、ピッキングや発注、出庫などがスムーズにできるでしょう。

一方で、商品を置く位置が決められていることにより、保管スペースに無駄が生じる場合があるのがデメリットです。商品が増えすぎると、全体のレイアウトの変更が必要になる可能性もあります。

 

フリーロケーション

フリーロケーションは、商品を入庫したタイミングで空いているスペースに格納する方法です。空いているところに格納すればよいため、固定ロケーションに比べて棚入れ作業が楽になり、倉庫内のスペースも有効活用しやすいでしょう。格納した商品や棚は、バーコード登録をして管理を行います。

ただし、商品を倉庫内のどこに保管するかという明確なルールがないため、ピッキングに時間がかかってしまったり、作業動線が悪化したりする点がデメリットです。

Hiroki
Hiroki

バーコードより効率的、かつ正確に在庫管理をするために、ICタグと無線通信を使って在庫管理をすることもあります。 どちらのロケーション管理方法にもメリット・デメリットがあるため、倉庫の状況や保管するものに合わせて選択するとよいでしょう。

倉庫保管を効率的に行うためのポイント

倉庫管理を効率的に行うためには、次の4つのポイントをおさえておきましょう。

  • 保管場所を出荷頻度によって変更する
  • スペースロスを削減する
  • 作業動線を適切に整える
  • WMSを導入する

順に詳しく解説します。

保管場所を出荷頻度によって変更する

商品の出荷頻度に合わせて保管場所を変更することで、より効率的にピッキングができるようになるでしょう。商品の出荷頻度は、ABC分析をすることで見極められます。

ABC分析とは、コストや売上高などの評価軸を設定したうえで、商品をAグループ・Bグループ・Cグループの3グループに分類して優先度を決めるものです。例えば出荷数ベースでグループ分けをする場合、以下のように判断できます。

Aグループ 出荷数が多いため、入荷・出荷に便利な場所へ保管すべき商品
Bグループ Aグループほどではないもの安定した出荷が見込めるため、倉庫の中間~奥で保管しておく商品
Cグループ 出荷数が少ないため、倉庫の奥で保管または在庫削減を検討する商品

出荷数ベースでABC分析を行うことで商品の優先度が判断でき、より効率的な配置が可能となるでしょう。

スペースロスを削減する

倉庫の保管効率を上げるためには、倉庫内のスペースを有効活用することが大切です。スペースロスが発生する原因として、平面・高さ・山欠けという3つの視点でのロスが考えられます。

  • 平面ロス:水平面上に物が置かれていないエリア
  • 高さロス:物が積み上げられていないエリア
  • 山欠けロス:荷物と荷物のあいだに隙間が多い

平面ロスは、倉庫内に棚や商品が十分に置かれていない状態のことです。通路を必要以上に確保してしまい、スペースロスが発生している場合もあるでしょう。改善案としては、棚のレイアウトや通路幅の見直しが挙げられます。

高さロスは、商品が十分に積み上げられておらず、倉庫の高さを有効活用できていない状態です。段積みの高さを上げる、保管棚の高さを変更するなどの改善案が考えられます。

山欠けロスは、棚のスペースの使い方が悪く荷物の隙間が多い状態のことです。倉庫を整理する際に、棚の大きさに合わせた商品を保管するよう意識するとよいでしょう。

作業動線を適切に整える

ロケーション管理を行う場合、倉庫内での作業動線を整えることによって商品の最適な配置がしやすくなります。作業動線とは、作業員や商品などが移動する流れのことで、利用頻度の高い場所までの距離などを軸に判断するのが一般的です。

作業動線をもとにロケーションを適切に配置すれば、保管している商品を最短距離でピックアップできるようになり、業務効率や保管効率の向上が見込めるでしょう。

Hiroki
Hiroki

作業導線を決める時は効率だけでなく安全性への配慮も必要です。例としては、フォークリフトと人の動線を分けて、接触事故をなくすことが挙げられます。

WMSを導入する

WMS(倉庫管理システム)とは、商品の入荷から出荷までの動きをリアルタイムで追跡して、倉庫運営をサポートするシステムのことです。WMSの機能を使えば、商品がどこにあるのかをデータで把握できるため、ピッキングの最適化やヒューマンエラーの低減、人件費・管理費削減などにつながります。

またデータの活用により、倉庫内のレイアウトやピッキングルートの最適化にも貢献することから、作業効率と保管効率の向上も期待できるでしょう。 WMSについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

まとめ

物流における保管には、商品の品質を維持しながら正しく管理するだけでなく、消費者が必要とするときに必要な量をすみやかに届けるため、適切な配置で保管する役割もあります。これらの役割を果たしながら保管するためには、商品の特性や大きさに合わせた保管形態の選択と温度・湿度の調整が必要です。

さらに、倉庫保管を効率的に行うためには、出荷頻度に合わせた保管場所の設定やスペースロスの削減、WMSの導入などが考えられます。自社では保管の最適化がなかなか難しいという場合、アウトソーシングするのも一つの方法です。プロに商品の保管を任せることで物流品質が上がり、主力業務に専念できるようにもなります。

浜松委托運送は、関東~関西の真ん中に位置する静岡県浜松市を拠点としており、全国のさまざまな場所へ安定した物流サービスをご提供可能です。自社の物流倉庫では、お品物に合わせた最適な保管はもちろんのこと、細かな流通加工にも対応しています。物流業務についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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