ロケーション管理とは、保管する商品や原材料の保管場所を定め、番号・番地を割り振って管理する方法です。倉庫内のどこに保管されているのかが明確になるため、入出庫やピッキング、棚卸などの業務を効率的に運用できます。倉庫内で荷物を探し回るといった事態を防げることから、在庫管理を効率的に行えるようになるでしょう。
本記事では、ロケーション管理の種類や割り当て方、導入のメリットについて説明します。ロケーション管理を行ううえでのポイントも解説しているため、在庫管理の最適化にお悩みの方は参考にしてみてください。
- ロケーション管理の種類や割り当て方法
- ロケーション管理を行うメリット
- ロケーション管理のポイント
目次
ロケーション管理とは
ロケーション管理とは、倉庫内の決められた場所で商品在庫を管理する方法のことです。
ロケーションは商品や原材料を保管する場所であり、保管場所を示す倉庫内のアドレスを意味します。ロケーション管理では、商品ごとにロケーションを割り振ることで、商品がどこに保管されているかを可視化・データ化できる点が魅力です。
また、保管する商品の属性(返品されたもの、品質検査中など)によって保管すべき場所を決定することもできます。
ロケーションの種類とは
ロケーション管理には、固定ロケーションとフリーロケーションの2種類があります。固定ロケーションでの管理は多量少品種の商品に適しているのに対し、フリーロケーションでの管理は出荷変動が起きやすい商品に適しているのが特徴です。
それぞれどのような管理方法なのか、以下で詳しく見てみましょう。
固定ロケーション
商品などのアイテムごとに保管する場所を固定して決定する方法が、固定ロケーションです。固定ロケーションでは、アイテムを常に指定された同じ場所に保管します。このため、どこに何があるのかが明確になり作業効率が高くなる点がメリットです。
一方のデメリットは、倉庫内に空いた場所があってもほかのアイテムを保管できないなど、イレギュラーな対応がしにくいことが挙げられます。結果としてデッドスペースが生まれ、保管効率が低下してしまう場合があるでしょう。
どちらかといえば、商品の入れ替えが少なく、限られた少ない品種を大量に管理したい場合に適しています。
フリーロケーション
フリーロケーションとは、倉庫内の空いている場所に商品や原材料を保管する方法です。固定ロケーションのように商品ごとで保管場所を定めるわけではないため、柔軟性が高く、より多くの在庫を保管できます。
また、商品の入れ替えなどによるレイアウト変更や、空いている場所があるにも関わらず商品を置けないといったデメリットもありません。
ただし、フリーロケーションで保管した場合、出庫すべきアイテムがどのロケーションにあるのか確認に手間がかかる傾向にあります。どちらかといえば、在庫数の変動が激しい商品や日付管理・ロット管理が欠かせない商品に適した保管方法です。
ロケーションを割り当てる方法
倉庫内のロケーションの割り当て方は、「ラック」あるいは「平置き」の2種類です。ラック(棚)を利用する方法ではラックごとに番号などが振られるのに対し、倉庫の床に商品やパレットを直接置いて保管する平置きでは床に線を引いてロケーションを割り当てます。
ラック
ラック管理とは、倉庫内のスペースに棚を設置して商品などを保管する方法です。ラックは平置きよりもスペース効率が優れているほか、スタッフがピッキングなどを行う場合の作業動線が短くなるため、作業効率も向上します。
ロケーション管理においては、ラックの一段ずつに番号を振ったうえで管理保管するのが一般的です。棚番号はロケーション番号、ロケ番などとも呼ばれ、番号を聞けば商品が倉庫のどのあたりに保管されているかが容易にわかるようにする必要があります。
例えば「ゾーン・列・連・段・間口」など、詳細に番号を割り当てる方法などが考えられるでしょう。
平置き
平置きとは、倉庫の床に線を引いてロケーション番号を割り振り、床やパレット上に商品などを直接置いて保管する方法です。平置きはラックに保管することが困難な大型の商品や形がいびつな商品、重量がある商品の管理などに適しています。パレットごとフォークリフトで運ぶことが多いものなど、毎日出荷がある商品にも便利でしょう。
ただし、平置きで管理するには保管スペースが必要なため、ラックと比べると保管効率や作業効率は低下します。
ロケーション管理を行うメリット
ロケーション管理では、作業効率の向上とコストの削減を実現できる点が大きなメリットです。ピッキング動線が改善されてスタッフが作業しやすくなるだけでなく、在庫管理でのミスを低減させる効果も期待できるでしょう。
作業効率の向上
ロケーション管理のメリットとして、まず作業効率が上がることが挙げられます。商品が保管されている場所を容易に特定できるため、スタッフが商品をスムーズに見つけやすくなります。具体的な内容についてご紹介します。
ピッキング導線の改善
商品のロケーションを固定化することで、スタッフがピッキングのために商品を探し回る手間がなくなり、作業動線を改善できます。
また、ABC分析などを用いて売り上げが多く出荷頻度の高い商品を特定し、保管場所を設計するのも一案です。分散していた保管場所を作業上最適なロケーションに設定できれば、作業動線を最短化につながるでしょう。
これによりスムーズなピッキングが実現でき、結果的に作業効率の向上につながります。
在庫管理の適正化
ロケーション管理を適切に行うことによって、スタッフの誰もが商品の保管場所を特定できるようになります。ロケーション管理を行わない場合、商品数が多くなるほどに作業が煩雑になり、ミスも発生しやすくなるでしょう。商品に適切なロケーションが割り当てられていれば、品種が増えても混乱を招くことがなく、ミスの発生を減らすことが可能です。
保管する商品の個数によってロケーションを分けるなどの工夫することで、棚卸もしやすくなります。例えば、特定のロケーションには100個の商品しか保管しないなどのルールを設定すると、数量のカウントがしやすくなるでしょう。
ルールが定められたブロックによって棚卸業務の工数が大きい・小さいの判別がしやすくなるといったメリットもあります。
コストの削減
ロケーション管理を行うことで作業効率が向上すると、投下するスタッフの数や作業時間の削減ができます。結果として、コストカットにつなげることが可能です。
具体的にはスタッフがピッキングの際に商品を探し回る手間を減らしたり、移動のための歩行距離を短縮できたりなど、ピッキングの作業効率が向上します。これにより、荷役量が増えた場合でも人員増加を回避しやすくなり、人件費の削減が見込めるでしょう。
フリーロケーションの導入による保管効率の向上も、コスト削減に貢献します。入荷する商品数が増えた場合にも、大きな倉庫への移転などを回避できるため、倉庫費用の削減にもつながるかもしれません。
倉庫内では、いかにしてスタッフの歩く歩数を減らして移動距離を短縮するかが、作業時間の短縮や生産性向上のための重要なポイントになり、ひいてはコスト削減にもつながります。
ロケーション管理のポイント
ロケーション管理を導入する際、作業効率と保管効率の向上を両立させるには、商品の動きに対する柔軟さが大切です。そのためには、商品ごとの出荷頻度や量などを正確に把握しておかなければなりません。
また、管理のしやすさだけでなく、スタッフの作業のしやすさにも重きを置くようにしましょう。
ロケーション管理を柔軟に行う
柔軟なロケーション管理を行うためには、細かく商品の動きを把握する必要があります。荷動きは、需要や季節性によって変動するものです。そのため、ABC分析や販売データ、入出庫のデータから最適なロケーション管理を検討すると良いでしょう。
例えば、ブラックフライデーなどのECサイトによるセールがあるときは、売りたい商品やよく購入される商品を出荷しやすいロケーションに変更します。作業効率と保管効率の両立を図ることが、ピッキングや出荷スピードの向上にもつながるためです。また、オフィス向けのコーヒーと砂糖など、一緒に出荷することが多い商品は近くに保管するといった工夫も必要でしょう。
浜松委托運送では、お客様の出荷状況に合わせて週1回以上ロケーションのメンテナンスを行うことで、現場の作業効率の向上を図っています。
最適なロケーション管理を行うためには、出荷量が多い商品や出荷頻度が高い商品をスタッフの作業動線が短くなる場所に保管することがポイントです。
返品商品や不良商品の保管場所を確保する
ロケーション管理では、返品商品や不良在庫の保管場所についても考慮が必要になります。こうしたイレギュラーな商品の保管場所には、フリーロケーションの確保が有効です。返品商品や不良在庫には専用の保管場所を確保しないと、在庫管理の精度が低下し、棚卸差異の原因になることもあります。
加えて、返品商品や不良在庫に関するルールも必要でしょう。現場は、入出荷などの通常業務に日々追われがちです。返品商品や不良在庫に対して「どのような状態になったら処分するか」などの対応ルールを決めておかないと、いつまでも放置されたままになり、保管場所を圧迫したり余計な管理コストが発生したります。
返品された商品や不良在庫については商品現物のロケーション管理に加え、在庫データ上においても、返品理由や返品作業の進捗状況などのステータス管理を行うことも必要です。
スタッフの作業しやすさを踏まえて考える
ロケーション管理による効率化を期待するのであれば、現場のスタッフが作業しやすい環境作りが必要です。最適なロケーションはスタッフの動線を短くし、作業時間を短縮化します。結果的に作業負荷の削減と生産性の向上、効率化につながるでしょう。
スタッフの作業効率に寄与するロケーションを考える際のポイントは、以下のとおりです。
- 出荷頻度を考慮して、頻度が高い商品は出荷エリア付近に保管する
- ピッキングエリアはコンパクトにして歩行距離を短くする
- 類似商品は入庫ミスやピッキングミスを避けるために離して配置する
システムを導入・活用する
ロケーション管理をより有効に活用するためには、在庫管理システムの導入も検討してみてください。在庫管理システムでは、在庫状況をリアルタイムで確認できるため、タイムラグなどによる在庫差異を防げます。さらに入出庫やピッキングの工程では、ハンディターミナルやバーコードリーダーなどと併用することで伝票の確認・手書き作業から開放され、効率化を図ることが可能です。
浜松委托運送では、倉庫管理システムとハンディターミナルを活用した管理により、作業精度向上と効率化を実現しました。また、すべての商品をバーコード登録することで、在庫管理におけるミスを防いでいます。
合わせて読みたい
WMSとは?物流倉庫に導入する際の基礎知識を徹底解説まとめ
倉庫の決められた場所で商品を保管するロケーション管理には、作業効率の向上や在庫管理品質の担保、コスト削減などのメリットがあります。ロケーション管理のなかにも、固定ロケーションとフリーロケーションの2種類があり、それぞれ一長一短です。
固定ロケーションは商品の保管場所が明確になるという利点がある一方で、イレギュラーな対応には強くありません。対するフリーロケーションは商品の入れ替えなどに対応しやすいものの、ピッキングなどに手間がかかる可能性があります。
ロケーション管理のメリットを最大限得るには、臨機応変にロケーション管理を行うことが重要です。ラック・平置きなどの管理方法を最適化したうえで、スタッフの作業のしやすさにも配慮しましょう。商品の効率的な保管にお悩みの方は、EC関連商品の扱いをはじめとして実績と経験が豊富な浜松委托運送にご相談ください。
合わせて読みたい
浜松委托運送の物流倉庫サービスについて見てみるこの記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら