デバンニングとは?作業のコツと荷下ろし中の事故を防ぐ注意点

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デバンニングとは?作業のコツと荷下ろし中の事故を防ぐ注意点

デバンニングとは、コンテナから荷物を取り出すことをいいます。

荷役作業における重要な工程であるデバンニングですが、労働環境の過酷さや事故のリスクなどが問題点として挙げられることも多く、物流工程の最適化を考えるうえでは注目するべきポイントの一つといえるでしょう。

この記事ではデバンニングの概要や、バンニングとの違い、問題点や効率化のポイントを紹介します。

 

■この記事でわかること

  • デバンニングの概要とバンニングの違い
  • デバンニングの問題点
  • デバンニングを効率化するコツ

 

デバンニングとは

デバンニングとは、コンテナからの荷下ろし作業のことです。反対にコンテナへ荷物を積む作業をバンニングと呼びます。いずれも荷物を遠方に運ぶために行う荷役における重要な作業です。

ここではデバンニングとバンニングについて紹介します。

荷役全体の流れを知りたい方は、こちらのページもチェックしてみてください。

デバンニング

コンテナから荷物を取り出すデバンニングは、輸入した商品や海外生産の自社製品を国内倉庫へ運ぶ際に行われます

その際にデバンニングの業務内容や費用の目安を知っておくことで、コストの目安がわかり、効率的に作業を進めやすくなるでしょう。ここではデバンニングの業務内容と費用を紹介します。

 

業務内容

デバンニングは、主にコンテナ到着後の荷役のタイミングで行われ、貨物をコンテナから取り出す作業を指します。開封するコンテナは、複数の商品や荷物を一度に運搬するための大きな箱状の容器で、トラックなどの長距離輸送にも使用されています。

デバンニングのプロセスは、主に下記の流れで行われます。

  1. コンテナが到着する
  2. スロープなどを設置する
  3. 荷下ろしを実施する
  4. 荷下ろしが完了する
  5. コンテナ内を清掃する

 

特に大きなコンテナや多量の荷物を扱う場合は、一人の作業者だけでは効率的に作業を進めることが難しいため、複数の作業者によって行われることが特徴です。

 

目安となる費用

デバンニングの費用は、物流倉庫に委託する場合に発生します。一般的なデバンニングの費用としては、2~5万円程度が目安です。

詳細な費用は、荷物の種類や数量、荷役の方法といった要因によってさまざまです。たとえば、バラ作業かパレット作業か、20フィートコンテナ(20F)と40フィートコンテナ(40F)かによっても変動します。ただし、場合によって20Fコンテナと40Fコンテナで作業工程が変わらず、同じ費用感になる場合もあります。

また、デバンニング作業を行う人手によっても費用が異なります。物流倉庫にかかる費用については、こちらのページでも紹介しているため、参考にしてみてください。

バンニング

バンニングとはデバンニングとは逆に、輸出する貨物を倉庫からコンテナに積み込む作業です。バン詰めやバンとも呼ばれ、担当者が手作業で行うほか、フォークリフトを使用するケースもあります。

バンニングは、長距離輸送や多くの荷物を輸送に際しての作業となるため、貨物の安全な積み込みと確実な固定が求められます。

デバンニング作業の問題点

デバンニング作業の問題点

デバンニングの問題点としては、労働環境の過酷さや商品の破損リスクなどが挙げられます。それぞれ見ていきましょう。

きつい労働環境

デバンニング作業は、過酷な環境下で行われ、多くの荷物を手作業で扱うケースも珍しくありません。そのため、人材が定着しにくく人手不足が起こりやすい仕事です。さらに、人材不足が原因で思うようにデバンニングを進められないケースも想定されます。

 

作業中の事故リスクがある

荷役中に事故が発生するリスクは高く、陸運業の事故の65%が荷役中に起きています。デバンニング作業においても、荷物の取り扱いや機械の操作などが原因で、過去に荷崩れが発生したケースもあります。

特にデバンニングでは、重い荷物をまとめて運ぶ機会も多いため、不適切な方法で行ってしまうと、作業員や周囲の安全が脅かされる可能性もあるでしょう。作業員の安全意識の向上を高めるには、日ごろの予防策の周知や徹底が不可欠です。

 

陸上貨物運送業における荷役作業の安全対策に関する検討会 報告書|陸上貨物運送事業労働災害防止協会>>

 

夏場のコンテナ内は過酷

夏場のコンテナ内は高温になりやすく、50℃を超えることも少なくありません。高温環境下でのデバンニング作業は非常に過酷で、熱中症リスクのほか、暑さで集中力が奪われることによる事故やケガにも気をつける必要があります。水分補給や休憩時間の確保といった対策を充分におこない、作業環境の改善に努めましょう

 

重たい荷物への対応

デバンニング作業では、一人で20kg以上の重い荷物を扱うことも多くあります。重量のある荷物を適切に取り扱うためには、作業員の筋力だけでなく、正しい取り扱い方法の周知や、安全対策が必要です

また、安全で効率的な業務には、作業員の健康状態も重要です。作業員の健康については、継続的かつ適切な管理が求められます。

作業時間と丁寧さの両立が大変

デバンニング作業は、効率的な作業と品質維持の両立が難しいという課題があります。デバンニングは原則として2時間以内に完了させる必要がありますが、一方で取り扱う貨物は商品であるため、丁寧な取り扱いが求められます。

また、荷物をパレットに積む際にも、商品の破損や汚れを防ぐための慎重さが必要です。作業のスピードアップと品質維持を同時に実現するためには、人材の定着や最適な人員配置による作業効率の改善が求められます

荷物をぶつけたり落としたりするリスクを最小限に抑えつつ、スピーディーな作業と高品質なサービスの提供を実現するためには、作業員の継続的なトレーニングとプロセスの改善が必要になるでしょう

商品の破損リスク

商品の破損リスクは、デバンニング作業において必ず存在します。平地での作業であれば影響は少ないかもしれませんが、高所作業中に商品やコンテナが落下すると、破損のリスクは一層高まります。

商品の破損は、損害賠償や信用の低下につながるため、企業にとって重大なリスクです。またコンテナが破損すれば、それに伴う修理費用も発生します。

破損のリスクを防ぐには、作業手順の見直しや最適な人員配置といった安全な作業環境の確保が必要です。最近では作業自動化を目的として、デバンニングを行うロボットの導入によって、商品の破損リスクを抑える方法もあげられます。

デバンニング作業を効率化するコツ

ここではデバンニング作業を効率化させるポイントを紹介します。デバンニング作業を効率化することで、作業時間の短縮や、事故リスクの軽減、従業員の負荷の軽減といったメリットが期待できます。

作業現場の環境を見直す

デバンニング作業の効率化は、現時点での作業環境を見直すことから始めましょう。作業員の安全を確保するためには、ヘルメットや安全靴、作業着などの適切な安全装備の着用を徹底する必要があります。

作業現場の安全性を向上させるためには、作業場の高低差を無くすコンテナスロープの導入する方法があげられます。これにより、荷物の移動や取り扱いがスムーズに行えるだけでなく、商品の破損や事故リスクも低減できます。

また、夏場の熱中症対策としては、扇風機やサーキュレーターなど、コンテナ内の温度を抑えるアイテムの導入が有効です。

ほかにも安全装備の充実やマニュアルの見直しといった対策も、作業現場の環境を改善するうえで重要な取り組みです。

作業ロボットを導入する

近年ではデバンニング専用の作業ロボットも登場しており、導入も進んでいます。たとえば、川崎重工から登場した「Vambo」は、1時間に最大600個の荷下ろしが可能なデバンニング用のロボットです。

ロボットの導入により、従業員の業務の負担を減らし、事故やケガの発生リスクも防ぎます。ロボットを複数台導入することで、人手不足の解消にもつながるでしょう。

ただし、ロボットを導入するためには導入費用や正確な取り扱い、定期的な保守・管理などが必要です

物流分野向け混載対応デバンニングロボット「Vambo」を新発売|川崎重工>

デバンニングをアウトソーシングする

デバンニング作業を外部の専門スタッフにアウトソーシングすることで、作業時間の短縮や、品質の向上が可能です。

また外部へ委託することで、これまで社内でデバンニングに充てていたリソースを、より専門的な他の業務に割り振ることもできます。外注費用はかかりますが、貨物が重かったり、数量が多かったりする場合は、特に合理的な選択肢となるでしょう。

デバンニングによる事故のリスクも最小限に抑えられるため、貨物や作業員の安全確保にも役立つでしょう。

まとめ

デバンニング作業はコンテナから荷物を取り出す作業です。輸送において欠かせない工程のひとつですが、荷役中の事故や熱中症、商品破損のリスクなど、問題を抱えやすい側面もあります。

効率的かつ安全なデバンニング作業を実現するためには、適切な安全対策の導入や作業ロボットの導入、アウトソーシングなどが有効です。

浜松委托運送では、デバンニングだけでなく、荷物の保管も含んだ物流工程をすべてを取り扱っています。アウトソーシング検討中の方は、お気軽にご相談ください。事業者様のニーズに合わせて最適な物流フローをご提案させていただきます。

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