サプライチェーンとは?企業の実例・つながりをわかりやすく解説

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サプライチェーンとは?企業の実例・つながりをわかりやすく解説

サプライチェーンとは、原料の調達から、製造や流通、販売などを経て、製品が消費者へ届くまでの、一連の流れを表します。物流業界はもちろん、製造業界や小売業界など、幅広い領域に目を向け、サプライチェーン全体の最適化をおこなうことにより、業務効率化や収益の改善を目指せます。

この記事ではサプライチェーンの概要と種類、改善のメリットや注意点について紹介します。

 

■この記事でわかること

  • サプライチェーンの概要や種類
  • サプライチェーンを改善するメリット
  • サプライチェーンを取り巻く注意点

 

サプライチェーンとは

サプライチェーンとは

サプライチェーンの意味

サプライチェーンとは、商品が消費者に届くまでのモノの流れを指します。この流れは原材料の仕入れから商品の在庫管理、販売までが鎖のようにつながっており、自社だけでなく他社もまたいだモノの流れを含みます。

サプライチェーンが分断されると商品が消費者に届かなくなるため、安定した物流を維持するためには、リスク管理が不可欠です。

サプライチェーンの流れは、一般的にToBの流れ(調達、生産、物流、販売、消費)を指します。しかし、ECの場合は、直接消費者に届けること(D2C)までを指し、生産や販売の段階を省略するケースも珍しくありません。

浜松委托運送では、生産と物流の2工程にまたがる流れを提供しており、それぞれの特徴を活かした効率的な運送を行っています。

 

事業における3つのチェーン

事業における流れを表すチェーンには、サプライチェーンの他に、デマンドチェーンとバリューチェーンがあります。ここでは、サプライチェーン以外の2つについて、それぞれ解説します。

サプライチェーン 商品が消費者に届くまでの流れ
デマンドチェーン 消費者を起点にした情報管理システム
バリューチェーン 事業活動で生まれる価値の流れ

 

デマンドチェーン

デマンドチェーンは、顧客から得られる情報を起点に、商品の開発や生産、流通を最適化する仕組みです。たとえば、口コミや市場の動向、POSデータをもとに顧客のニーズや要求を正確に把握し、それに基づいて製品供給を調整することによって、効率的な供給を実現します。

日本では従来からサプライチェーンに注力していたため、デマンドチェーンへの対応が遅れていました。しかし、顧客志向の重要性が高まる中、近年ではデマンドチェーンの見直しが進められています。

顧客の声を反映させることで、的確な商品供給を実現し、競争力を向上させる一翼を担っています。

 

バリューチェーン

バリューチェーンは、企業の活動を「主活動」と「支援活動」の2つに分け、事業の価値創造を見つめるフレームワークです

主活動とは、購買、流通、販売、サービスなど、直接的に収益を生み出す機能を指します。一方、支援活動は、調達、技術開発、財務、人事、労務管理といった直接価値を生み出さない間接的な機能を指します。

バリューチェーンの考え方は、事業活動を価値連鎖として捉えることが特徴です。そのため、主に企業の強みと弱みを分析し、どの活動において優位性や改善すべきかを評価するために用いられます。

サプライチェーンの種類と戦略

サプライチェーンには大きく分けて5種類があり、それぞれ目的や戦略が異なります。下記の表はサプライチェーンの種類と戦略の一覧です。

リーン・サプライチェーン 無駄を削減して効率を高めるサプライチェーン
アジル・サプライチェーン 価格・仕様・品質・量・配送に関する顧客要望へ柔軟に対応するサプライチェーン
リライアブル・サプライチェーン 在庫量を増やして調達経路を複数確保して正確な製品納入を目的としたサプライチェーン
顧客志向サプライチェーン さまざまな顧客の要求を正確に理解した製品供給を行うサプライチェーン
差別化サプライチェーン 競合他社が持たないような製品の多様性を追求するサプライチェーン

由井正 安田一彦.5つのサプライチェーン基本型.国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) >>

サプライチェーンの例

サプライチェーンの例

メーカーにおけるサプライチェーンは、主に調達、生産、物流、販売、顧客といった流れになっています。

①調達

メーカーは製品の製造に必要な原材料や部品を調達するためにサプライヤーと契約します。安定した供給を確保するためには、品質や価格、納期などを考慮したサプライヤーの選定が必要です。

 

②生産

生産のフローでは、メーカーが製品の受注や予測に基づいて計画を立てます。その後、生産ラインで原材料や部品を組み立て、加工を行い製品を完成させます。

 

③物流

完成した製品は在庫として保管され、需要に応じて卸売業者や小売業者に出荷されていきます。在庫コストを削減しつつ需要を満たすためには、生産計画を慎重に行い、在庫レベルでの最適化が必要です。

 

④販売

顧客は、卸売業者や小売業者を通して製品を購入します。顧客への納品をスムーズに行うためには、物流ネットワークを構築し、製品配送を効率化することがが求められるでしょう。

 

⑤顧客

メーカーは顧客からの問い合わせやトラブルに迅速に対応し、高品質なサービスが求められます。顧客の要望やフィードバックがあればそれを収集し、製品やサプライチェーンの改善に活かします。

場合によっては、不良品や返品された製品を受け取り、適切な処理や再利用を行うリバースロジスティクスも必要になるでしょう。このように環境への配慮や再資源化を促進することで、持続可能なビジネス活動を実現します。

サプライチェーンマネジメントとは

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、製品開発から販売までのプロセスを総合的に最適化する手法です。納期、売上、コストといった要素を管理し、効率化と競争力を向上させることを目的に用いられます。

近年では、急速な市場変動や競争の激化に伴い、多くの企業がサプライチェーンマネジメントを取り入れるようになりました。

また、サプライチェーンマネジメントは業界に関係なく、ビジネスの持続可能性と成長に向けて重要な戦略的アプローチとなっています

たとえば小売店では、POSデータや販売・受注実績の活用によって、消費者の需要を予測して調達・生産プロセスを最適化するケースがあげられます。これにより、在庫の過不足を回避し、効率的な供給を実現できるでしょう。

製造業界でも部品調達から生産計画、配送までのプロセスを統合的に管理することができ、生産効率の向上やコストの削減を目的に導入されることもあります。

サプライチェーンを改善するメリット

サプライチェーンを見直すことで、主に下記のリソースを改善し、収益性向上とコスト削減を実現することができ ます。ここではサプライチェーンを改善することで得られるメリットを紹介します。

  • 人的リソース
  • 金銭的リソース
  • 物的リソース
  • 情報リソース

収益性の向上

サプライチェーンマネジメントを実施し、需要予測と販売情報の共有ができれば、企業の収益性を高めることができます

たとえば、迅速で正確な需要予測ができれば、トレンドや地政学的リスクによる需要変動に対応しやすく、過剰に在庫を抱えるリスクを抑えることができます。さらに、保管コストの削減や廃棄物も削減でき、企業の持続可能な収益性の向上にもつながるでしょう。

また、需要の予測が迅速に行えれば生産数も調整できるため、過剰な生産を抑えられ、生産にかかるコスト削減にも期待できます。

サプライチェーンマネジメントによって需要と供給を最適化することで、一部の工程だけでなく、全体の収益性を高めることができるのです。

コスト削減

サプライチェーンマネジメントにより、仕入れの適正数量や小売店への最適な配送タイミングが正確に把握できれば、過剰に在庫を抱えるリスクやコストを削減し、適切な在庫レベルを保つことができます

また、仕入れから出荷といった業務全体の最適化がしやすいことも、サプライチェーンマネジメントの特徴です。

たとえば、サプライチェーンマネジメントによって、人的リソースを一元管理できれば、作業者の重複や無駄な待機時間を削減して、効率的に人員を配置できます。そうすることで、人件費の削減や労働生産性も向上できるでしょう。

サプライチェーンマネジメントは、単純なコストの削減だけでなく、組織全体の効率性や生産性を向上させるうえでも役立ちます。

サプライチェーンを取り巻くリスク・注意点

前述の通り、サプライチェーンを最適化することで、利益や情報共有の速度向上を目指せます。ですが一方で、サプライチェーンが起因となるリスクやトラブルも存在します。

特に物流業界において、サプライチェーンの流れが途切れてしまうと、ほかの企業や顧客にも影響を与えます。ここでは、サプライチェーンを取り巻くリスクや注意点も確認しておきましょう。

サプライチェーン攻撃

サプライチェーン攻撃とは、サプライチェーンを通じてターゲット企業への攻撃を行うことです。セキュリティレベルの高い本体企業への直接侵入が難しい場合でも、取引先や子会社の弱点を突いて侵入される特徴があります。

サプライチェーン攻撃には、主に以下の3種類が存在します。

・ソフトウェアサプライチェーン攻撃

ソフトウェアの開発や配布プロセスに侵入し、改ざんされたソフトウェアを提供することによって、ターゲット企業のシステムに不正アクセスを仕掛ける方法です。

 

・ビジネスサプライチェーン攻撃

ビジネスに関係のあるパートナーやサプライヤーなどを標的にし、その信頼関係を悪用してターゲット企業に対する攻撃を行います。たとえば、不正な請求書を送信して資金を詐取する手法などがあげられます。 

 

・サービスサプライチェーン攻撃

サプライチェーンに関連するサービスプロバイダーのシステムに侵入し、そのサービスを通じてターゲット企業の情報やデータを盗み出すことを狙う方法です。

これらの攻撃は、通常のセキュリティ対策では対処が難しく、サプライチェーン全体のセキュリティ強化が必要になります。

責任あるサプライチェーンと人権の尊重

現代では、自社のビジネスが各国の人権に与える影響がリスクとして注目されています。たとえば、自社が安価にコーヒーを提供するために海外の農園から低コストで仕入れる場合、その実態がフェアトレードの原則に反している可能性もゼロではありません。

場合によっては、低賃金や過酷な労働条件により海外の労働者の生活や権利を脅かすことにもつながるでしょう。そのため、企業は自社のサプライチェーン全体を通じて、人権を尊重し、適切な労働条件や持続可能なビジネスパートナーシップの確保が必要です。

社会的な関心の高まりと共に、責任あるサプライチェーンの構築が企業の信頼や長期的な持続可能性に関わる要素となるでしょう。

「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を公表しました|経済産業省>>

まとめ

サプライチェーンは、商品が消費者に届くまでのモノの流れを表します。また、サプライチェーン全体を最適化するために行われる手法を、サプライチェーンマネジメントといいます。

サプライチェーンマネジメントを実施すれば、サプライチェーン全体の収益向上や業務効率化を実現できる可能性がありますが、自社だけでなく他社もまたいだ全体の流れとなるため、会社間での連携が欠かせません。

浜松委托運送は、サプライチェーンにおける物流と生産領域にまたがる企業です。システムによる効率化や浜松の立地を活かしたコストパフォーマンスが強みとなっているため、気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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