CIF条件とFOB条件の違いは？どちらの条件を使うべきかも解説

CIFとFOBはインコタームズという「国際取引条件」に含まれる条件です。国際取引条件では、輸入者と輸出者の運賃、保険の負担区分を決めています。CIF条件とFOB条件では負担の範囲に違いがあり、状況に応じて使い分けが必要です。

本記事では、CIF条件とFOB条件の違いや、それぞれの条件を使用すべきタイミングを解説します。海外への輸入や輸出に携わる方は参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

■この記事でわかること

CIF条件とFOB条件の違いは？

CIF条件とFOB条件では運賃、保険やリスク、それぞれの負担の範囲に違いがあります。それぞれの違いを以下で解説するので、チェックしていきましょう。

CIFの場合

CIF条件（Cost Insurance and Freight）とは、売主が海上輸送費用と輸送保険料を手配して支払う条件です。

• 輸出者：船に積むまでの通関費用や積載費用、船から下ろすまでの海上輸送費用や保険料など
• 輸入者：本船の貨物荷下ろし以降の運送費用や保険料など

運賃と保険料込みの条件であるため、「運賃保険料込み条件」と呼ばれ、保険証券が発行されます。なお、リスク移転は船に詰め込んだ時点で発生します。

FOBの場合

FOB条件（Free On Board）は、費用負担が船に貨物を積み込んだ時点で輸入者へ移転する条件です。「本船渡し」「本船積み込み渡し」と呼ばれています。リスク移転に関してはCIF条件と同じで、船に貨物を積み込んだ時点で発生します。

• 輸出者：船に積むまでの輸送費用や通関費用、積載費用など
• 輸入者：船から下ろすまでの海上輸送費用や保険料などの費用

なお、輸入者が保険条件をかける義務はありません。

つまり、CIF条件とFOB条件では、輸入者と輸出者のどちらが海上輸送費用と保険料を支払うのかといった違いがあります。

CIF条件とFOB条件を活用する際の注意点

CIF条件とFOB条件では輸入者と輸出者の負担範囲が異なるため、選び方を間違えてしまうと大きなトラブルに発展する可能性もあります。

それらを踏まえて利用する際の注意点を説明するので、しっかりとチェックしておきましょう。

コンテナ輸送時には利用しない

CIF条件、FOB条件はどちらも在来船利用時の条件であり、「コンテナ輸送時には利用するべきでない」とICC（国際商業会議所）が注意喚起しています。

コンテナ輸送の場合は、本船に積載される前にコンテナターミナルで引き渡されます。それに対してCIF条件、FOB条件は船に積載されてからリスク移転が発生するため、コンテナターミナル内での負担が輸出側に発生する不合理な条件です。

よってコンテナ輸送時には、CIF条件の場合はCIP条件（輸送費保険料込）やCPT条件（輸送費込条件）に、FOB条件の場合はFCA条件（運送人渡条件）にするのが合理的といえます。

※CIP条件、 CPT条件、FCA条件とは、コンテナ輸送の際の取引条件として1980年版のインコタームズで追加されたもので、運送人に引き渡された時点でリスク移転する条件です。

• CIP条件：輸出者が仕向地までの輸送費と保険料を負担
• CPT条件：輸出者が仕向地までの輸送費を負担
• FCA条件：輸出者が運送人に引き渡すまでの輸送費用や通関費用を負担

規定であって法律ではない

CIF条件、FOB条件を含むインコタームズは、ICC（国際商業会議所）が規定している貿易取引条件であり、貿易上の紛争や誤解、訴訟を防止するためのものです。

つまり、守らなくてはいけない法律ではないため、自身がそれぞれの条件を詳しく理解したうえで、適切な条件を選択して取引しなければなりません。

何年版のインコタームズを利用するのか、指定する港や場所はどこなのかなどの細かいルールを決め、契約時に正確に記載しておく必要があります。

まとめ

CIF条件とFOB条件では費用の負担範囲が異なります。輸出する際は、FOB条件であれば海上運賃と保険料は輸入者側の負担になるため、費用の負担を抑えられます。反対に輸入する際には、CIF条件の方が費用負担を減らせるでしょう。

このように、同じ商品を貿易するにしても、条件次第で費用負担額が異なるため、それぞれの条件を理解しておくことで、より良い条件で取引が行えるでしょう。

浜松委托運送では、保税倉庫の利用によって港倉庫と同様に荷物が取り扱えるため、輸出入の対応も可能です。ご相談やお見積もりはお気軽にお問い合わせください。