倉庫管理とは?物流における役割と業務範囲

公開日:

更新日:

物流業務の改善を考えるうえで重要なのが倉庫管理です。倉庫管理を現状よりも効率化できれば、物流業務をさらに強化できるかもしれません。

この記事では、倉庫管理の役割や業務内容について解説します。あわせて、倉庫管理を効率化するポイントも解説していますので参考にしてください。

■この記事でわかること

  • 倉庫管理の目的と役割
  • 倉庫管理の業務内容
  • 倉庫管理を効率化するためのポイント

倉庫管理とは

倉庫管理とは、具体的にどのような業務を指すのでしょうか?倉庫管理の目的や役割から、業務内容まで詳しく解説していきます。

倉庫管理の目的と役割

倉庫管理の主な目的は業務を効率化し、トラブルやミスを防ぎ、サービス品質を維持することです

倉庫管理が適切に行われていれば、欠品や誤出荷による配送遅延を防げます。属人化や非効率な業務による生産性の低下も改善できるでしょう。

なお、倉庫業法により、倉庫業者は各倉庫に対して、倉庫管理主任者の配置を求められています。倉庫管理主任者の業務は、火災の防止、倉庫管理業務の適切な運営の確保、労働災害の防止、現場従業員の研修などです。

各倉庫の倉庫管理主任者のもと、倉庫は安全かつ適切に運営されなければなりません。

参考:

倉庫管理主任者マニュアル|国土交通省総合政策局貨物流通施設課

台田 雄樹
台田 雄樹

日本倉庫協会が実施する倉庫管理主任者講習を受けることで、倉庫管理主任者に必要な知識を学ぶことができます。講習は日本各地で開催されています。詳細は日本倉庫協会のHPをご確認ください。

倉庫管理の業務範囲

倉庫管理の業務範囲
ここからは、倉庫管理の業務範囲について説明します。倉庫管理を改善したい方は、その業務範囲をあらためて確認しておきましょう。

在庫管理

在庫管理は、倉庫にある商品の保管場所と在庫数の管理を行います

商品が正しい場所に保管されていなければ、商品を探すのに時間がかかり、作業効率が下がります。商品の補充が遅れれば、欠品による発送遅延が起こるかもしれません。こうした事態が起こらないよう、入庫から出荷までの間で、商品を適切に管理することが在庫管理の役目です。

 

なお、倉庫管理と在庫管理は、それぞれ目的が異なります。倉庫管理の目的は、倉庫内業務を効率化することです。一方、在庫管理は、在庫量を適切にコントロールして利益を最大化することが目的です

入荷管理

入庫管理は、商品の受け入れと保管場所への格納を行います

担当者は、商品を保管場所に格納する前に、届いた商品と入荷予定日が一致しているかなどの検品を行います。その後、届いた商品を決められた場所に配置します。

配置場所を間違えると、倉庫内での業務に支障がでるうえ、入荷元やドライバーにも損害が生じる可能性があります。受け取った商品を正しい場所に配置するまでが入庫管理の仕事です

出荷管理

出荷管理は、オーダーを受けて倉庫から該当の商品を取り出し、出荷先へ配送するまでの作業をいいます

担当者は、オーダーを受けた商品の在庫を確認し、在庫があればピッキング作業を行います。次に、ピッキング作業にミスがないか確認したうえで、商品の梱包や伝票の添付などの出荷準備を行います。

倉庫管理を効率化するためのポイント

倉庫管理をより効率化するためのポイントを解説します。倉庫管理で悩んでいる人は、以下の6つのポイントについて改善を検討してみてください。

倉庫内のレイアウト改善

倉庫内には、さまざまな商品が別々の場所に格納されています。倉庫管理の効率を向上させたいのなら、商品がどこにあるのかひと目でわかるようなレイアウトを心がけましょう。

 

スタッフが商品や保管場所を見つけるのに迷っているようなら、レイアウトの見直しが必要です。商品の入荷や在庫管理、出荷までの工程をスムーズに行えるレイアウトに変更することで、全体的な業務の効率化が見込めます。

浜松委托運送では、ABC分析などに基づき、出荷頻度に応じてレイアウトを変えています。こうした取り組みによりスムーズな配送を実現しています。

ロケーション管理による荷物の把握

ロケーション管理は、倉庫内の品物に保管場所を示す番号などを割り振って管理する方法です。ロケーション管理で商品の保管場所を把握できるようにすると、倉庫管理の作業効率が大きく向上します

ロケーション管理には、フリーロケーションと固定ロケーションの2種類があります。

フリーロケーションは、倉庫内の空いたスペースに商品を置いていく方法です。在庫の変動が大きい場合や、倉庫が小さくスペースが限られている場合などに採用されます。倉庫内の空間を有効活用できる一方で、保管場所が流動的になるため商品がどこにあるのかわかりにくくなるというデメリットがあります。

固定ロケーションは、どの商品をどこに置くかをあらかじめ決めておく方法です。品物ごとに保管場所が固定されるのでピッキング作業の効率は上がりますが、商品がない場合はその保管場所が空いたままとなり、無駄なスペースが生まれてしまいます。したがって、倉庫にスペースがあり、業務を効率化させたい場合におすすめです

当社でも固定ロケーションを基本に、商品の出荷頻度や倉庫内スペースの空き具合によっては、フリーロケーションも併用することで、業務の効率化を図っています。

ピッキングリストの作成

倉庫管理を効率化するには、ピッキングリストの作成も重要です。

ピッキングリストとは、商品とその保管場所を記載したリストのことです。通常の納品書には保管場所までは書かれていません。そのため、納品書のみでピッキングを行う場合、該当商品を見つけるのに時間がかかってしまいます。

一方、ピッキングリストがあれば、どの保管場所から商品をとってくれば良いのかがすぐにわかり、作業時間を短縮できます。経験の浅いスタッフでも即戦力になれるでしょう。

台田 雄樹
台田 雄樹

後述のバーコード管理やWMSが関係してきますが、紙媒体のピッキングリストの場合、リストを紛失するリスクもあるため、ハンディにピッキングリストを示す機能を追加することも1つ業務改善の方法としてあります。

倉庫への入荷時間の指定

倉庫への入荷時間を指定することも検討してみましょう。

入庫時間がわからない場合、スタッフは入荷のたびに、それまでの作業を中断して対応しなければなりません。これでは入荷対応が遅れたり、ほかの作業で思わぬミスが起きたりする恐れがあります。

しかし、商品の到着時間が把握できていれば、作業分配や人員配置を最適化できます。細かい時間指定が難しい場合も、入荷が午前か午後かがわかるだけでも、倉庫内業務を今より効率良く行えるはずです。

棚卸業務のバーコード・ICタグの導入

棚卸業務や在庫管理を手動で行っていると、時間がかかるうえにミスが起こる可能性もあります。バーコードやICタグ、RFID、ハンディスキャナー等の導入で効率化を図りましょう

 

RFIDは、タグの情報を無線で読み書きできるシステムです。スキャナーをかざすだけで、複数のタグを離れた距離から読み取れます。箱に隠れたタグや、高く積まれた商品のタグも読み取ることができるので、作業時間を短縮できます

浜松委托運送では、すべての商品をバーコードで管理しています。入荷時にJANコードがない商品にはインストアコードをつけることで、棚卸や出荷品質、在庫管理の品質向上を目指しています。

WMSの導入

近年は、WMSを導入した倉庫管理が注目されています。

WMSとは、商品の入出庫管理をはじめとする一連の作業をデジタル化して一元的に管理し、効率化をサポートする倉庫管理システムのことです。在庫の状況が見える化し、アナログで行っていた作業を減らせるため、人員削減にもつながります

浜松委托運送では独自のWMSを導入し、お客様のご要望に合わせたオーダーメイドで物流サービスを提供しています。

まとめ

倉庫管理を効率化するには、作業のシステム化や合理的な発想が重要です。倉庫管理の改善を検討しているのなら、まずは本記事で紹介した6つのポイントを検討してみてください。

管理が難しい場合は、アウトソーシングを視野に入れてみるのも一つの選択肢です。信頼できる企業に倉庫管理を委託できれば、本来の業務に集中できます。浜松委托運送でも倉庫管理のアウトソーシングを請け負っていますので、ぜひ一度ご相談ください。

台田 雄樹
台田 雄樹

倉庫管理のシステム化が進み、業務の省力化が進む一方で、庫内作業を行うのは人間であることは忘れてはいけません。そのため作業工程表を策定し、ヒューマンエラーの防止に努めることも大切です。


この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

オススメの記事
single-news