保税地域の消費税は免税対象?輸入時のルールと税の発生タイミング

公開日:

更新日:

保税地域消費税のアイキャッチ画像

外国から貨物を輸入する際、必ず耳にする言葉に「保税地域」があります。

保税地域とは、輸出入する貨物を一定の手続きが終了するまで置いておく場所のことです。日本国内の区域でありながら、外国であるかのような位置付けとも言えるでしょう。

この記事では、保税地域での消費税に関するルールについて、主に免税になる場合や発生するタイミングを解説します。外国貨物を引き取る際の参考にしてみてください。

保税地域を取り巻く消費税のルール

まずは保税地域における消費税に関するルールを解説します。免税となる場合の具体例も挙げているため、コストが気になる方はチェックしてみましょう。

保税地域に蔵置中の外国貨物の消費税は免税

保税地域の「保税」には、税金を留保するという意味があります。つまり保税地域に蔵置された貨物は関税などの支払いを終えていない、保税された状態の外国貨物ということです。

保税地域に蔵置中の貨物であれば、消費税はかかりません。消費税は日本国内で消費または使用する物品について課税される税金を指します。輸入許可を受ける前の貨物は外国貨物として扱われるため課税対象外という仕組みです。

第6節 保税地域からの引取り|国税庁

保税地域内の役務提供の消費税は免税

保税地域内での消費税に関しては、国税庁の消費税基本通達にて「指定保税地域などにおける役務の提供の範囲で免税」されることが定められています。

ここで言う役務とは、外国貨物の積み上げや荷下ろし、保管、鑑定などを指したものです。

保税地域内におけるこれら役務(労働)に消費税は課されていません。このことから保税地域を利用するメリットとして、関税や消費税の支払いを留保したまま簡単な仕分けや加工、値札付けなどの作業ができ、経費を抑えられる点が挙げられます。

保税運送の消費税は免税

保税運送とは、国内にある保税地域から別の保税地域まで外国貨物を保税状態(関税や消費税が未納)のまま運送することです。一般的に保税地域の多くは空港や港の近くにありますが、内陸部にも保税地域はあります。

内陸部の保税地域は「インランド・デポ(内陸保税拠点)」と呼ばれており、たとえばある港からインランド・デポへの運送は「保税運送」となるため消費税は課税されません。輸入通関はインランド・デポ到着後に行われます。

保税地域の消費税発生タイミング

保税地域において消費税支払いの発生するタイミングは、保税地域から貨物を引き取るときです。外国貨物を輸入する場合は、原則として引き取る前に輸入申告書を提出して消費税を支払う必要があります。

消費税の納税義務を負うのは、外国貨物を引き取る個人または法人です。従って免税事業者はもちろん、個人事業主ではない一般の会社員の方であっても輸入品を引き取る際は納税義務者となり得るでしょう。

ただし、納期限の延長について申請書を税関長に提出し担保を提供することで、担保額の範囲内の消費税額は、最長3ヶ月の納付期限延長を認められる場合もあります。

保税地域から引き取る際の消費税の課税標準

外国貨物の課税標準は、関税課税価格(CIF価格、運賃・保険料込み価格)に消費税以外の関税、個別消費税の額に相当する額を加算した金額です。この合計額に原則7.8%の消費税が課税されます。

なお、輸入品を保税地域から引き取った方は、品名や数量、金額に加え、消費税額などを記載した申告書を税関長に提出する義務があります。会計処理としては少々複雑になりますが、以下2つのポイントを覚えておきましょう。

  • 輸入消費税に関しては国内取引の仮払消費税とは区分する
  • 消費税と地方消費税は仮払消費税などとし、消費税申告のときに課税貨物にかかる消費税額として控除

また、輸入業者は輸入消費税の控除をし忘れているケースも少なくありません。消費税を払いすぎていないか、十分に注意しましょう。

浜松委托運送における保税倉庫の消費税の発生事例

保税倉庫内の貨物は外国貨物として扱われるため、消費税発生のタイミングは基本的に輸入許可の状態になった貨物の取り扱い作業から発生します。

つまり「外国貨物」から「内国貨物」へ切り替わったときに消費税の課税対象となるということです。

浜松委托運送では、入庫のタイミングから各種作業料に消費税が発生します。一方で、通関から検査、ラベル貼り、検疫までワンストップで行えるため、安定したサービスをスピーディに提供できることが強みです。

保税倉庫について詳しくはこちらをご覧ください。

保税倉庫とは?搬入から出荷までの流れやメリット・デメリットを紹介

まとめ

保税地域における消費税に関連するルールについて解説しました。輸出入する貨物を通関手続き終了まで一時的に保管できる保税地域は、輸入事業者にとって不可欠の存在です。

保税地域にあるあいだは外国貨物の消費税、関税ともに留保されます。消費税の発生タイミングを理解したうえで、上手に活用しましょう。

保税地域の役割や分類についてより詳しく知りたい方は、こちらもご参照ください。

保税地域とは?目的・種類・保税制度と税関について解説

この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

オススメの記事

single-news