輸入ビジネスに便利な保税倉庫とその保管料をご紹介!

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輸入ビジネスを手掛けていると、円安が進む前にある程度海外から仕入れて保管しておきたい、と考えますよね。
場所をとらない雑貨類なら自社倉庫でもいいかも知れませんが、家具などの大きなものやかさばるものは、外部の倉庫を利用するのも便利です。

海外からの輸入貨物を保管しておく場所を「保税蔵置所」または「保税倉庫」と呼びます。
保税倉庫は、税関長によって許可された倉庫で、税関で輸入許可を受ける以前の貨物を一時的に保管しておく場所です。

輸入貨物の保管は保税倉庫が便利

保税倉庫では、関税がかかる前の状態で貨物を保管します。
つまり、関税や消費税の支払いを保留できるので、経費を最小限に抑えることができます。

 

保税倉庫のメリット

保税倉庫は税関より保税蔵置場の指定を受けています。
これにより安全に保管可能な場所が確保できるという点が考えられます。

輸入商品にはトラブルが付きものです。
輸入貨物が国内で販売の見込みがなくなった場合や輸入貨物にダメージがあり売り物にならなかった場合、不良品でそのまま外国に返品した場合なども保税蔵置場を活用することで関税や消費税を支払わないまま外国へ送り返すことができます。

また、保税倉庫で保管している間に、貨物の検品や仕分け、値札やシール貼り、贈答用のラッピングなど、商材の加工をすることができます。
これらの作業は、保税倉庫を保有している物流業者などにアウトソーシングできますので、自社の手間や人件費などを省くことが可能です。

これから輸入ビジネスへの参入をお考えの方、今後拡大を考えていらっしゃる方も、保税倉庫の利用を考えてみてはいかがでしょうか。

 

保税倉庫を利用するには

このように、輸入ビジネスには心強い味方である保税倉庫ですが、利用するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。

 

保税倉庫の探し方

保税倉庫の多くは、港の周り、空港の近くにあることが多いです。
自社が扱っている貨物の輸入先や、国内での販売先などを考えて、貨物の輸送コストがもっとも低くなるような場所にある保税倉庫を選ぶとよいでしょう。

保税倉庫を所有している物流業者であれば、貨物が到着した時の荷役から保税倉庫への輸送、通関業務まですべて委託することもできます。
税関のホームページには保税倉庫(保税蔵置所)のリストが載っているので参考になりますし、検索するなら「保税倉庫 サービス」などのキーワードを入れると、保税倉庫サービスを行っている物流業者がヒットします。

選ぶときは、立地場所はもちろんですが、他にも、冷蔵や冷凍の設備があるか、温度管理のできる倉庫があるかなど、自社のニーズに合わせたサービスが提供されるかどうかも重要なポイントとなります。

 

 

保管料について

一般的に倉庫を借りる場合、その保管料はどのくらいなのでしょうか。
ここからは、契約の種別や保管体系など、保管料の基本となるものについて解説します。

 

寄託契約と賃貸借契約の違い

倉庫を借りるときに、サービス業者と交わす契約には2種類あります。

ひとつは「寄託(きたく)契約」です。
寄託契約は、倉庫内に一定のスペースを借り、そこで行う在庫管理、入出庫の作業全般も含む契約となります。
貨物の管理は、サービス業者が責任を持って行います。

ふたつ目が「賃貸借(ちんたいしゃく)契約」で、こちらは、倉庫内にスペースだけ借りる契約です。
業者は貨物の管理を行いません。

用途に合わせて、どちらのサービスを選ぶかを決めることになります。
また、保管料にも違いが出てきます。
寄託契約の場合の保管料は「保管している商品」について発生しますし、賃貸借契約の場合は「借りているスペース」に対して課されることになります。

 

さまざまな保管料体系

保管場所を借りるだけの賃貸借契約では、貨物を置くスペースだけが課金の対象となりますが、貨物の保管・管理サービスを含む寄託契約においては、「課金の対象として何を選ぶのか」によって、保管料の体系が異なります。

料金が決まる要素には、主なものとして次の5つがあります。

① 個数による保管料
貨物の大きさが同じときに使われる保管料です。1個いくらとして、総数を計算します。

② 容積による保管料
商品を詰めた貨物の大きさ(容積)を対象にした保管料です。貨物の縦、横、高さを計測し、容積(立方メートル:㎥)に対して課金します。

③ 坪数による保管料
貨物の大きさがそろっていなかったり、梱包されていなかったりする貨物の場合、貨物を平面に並べたときの坪数(面積)によって算出します。

④ パレットによる保管料
貨物が載ったパレット(移送や保管のために使用する荷役台)の台数によって算出します。

⑤ 重さによる保管料
貨物の大きさによらず、重量で算出します。キロ数やトン数で算出します。

 

保管料の計算の仕方(例)

ご紹介したように、保管料にもさまざまな体系があります。
体系によって、課金される単位が違ってきますので、まず自社の商品の保管にはどの体系が一番ふさわしいかを考え、保税倉庫のサービス業者と十分話し合うことが重要です。

保管体系が決まったら、貨物の保管状態に合わせて料金が決定します。
このときの保管料の計算方法を、まず「個数による保管料」の例をとって紹介します。

倉庫を寄託契約する場合の保管料算出期間としては、1ヶ月単位や、1ヶ月を3期に分割する「三期制」、冷凍や冷蔵では1ヶ月を2期に分割する「二期制」などが多く使われますす。

三期制(第1期:1日~10日、第2期:11日~20日、第3期:21日~月末)では、「個数による保管料」を計算すると次のようになります。
※1期当たりの保管料は以下の計算式で求めます。

・保管料=保管数(前期末在庫数+今期入庫数)×保管単価

例えば、保管料が1個あたり100円だとして、前期末の在庫数が10個あり、第1期に入庫が5個あった場合、

・(10+5)×100=1500

となります。
第1期に出庫が7個あった場合、第1期の在庫数は8個です。第2期の入庫が3個あった場合、

・(8+3)×100=1100

第2期での出庫が11個で、第3期に入庫が6個あった場合、

・(0+6)×100=600

3つの期間での保管料の合計は

・1500+1100+600=3200

となりますので、1ヶ月に支払う保管料は3,200円ということになります。
三期制ではなく1ヶ月単位での保管料だと入庫数のみでの計算となるので、

・1ヶ月の入庫数(5+3+6)×(100×3期分)=4200

となり、1ヶ月分の保管料は、三期制の方が1ヶ月単位制よりも安くなります。
料金体系によっては同じ入庫数でも差が出ますので注意が必要ですね。

そのほか、貨物を積み下ろしするときの「荷役料」がかかります。
荷役料の計算は、積み下ろし回数×積み下ろし単価になりますので、例えば単価が1回あたり100円だとすると、上記の場合では、入庫14回、出庫18回で合計32回ですから、

・23×100=3200

となり、荷役料は1ヶ月2,300円かかることになります。
こちらに上げたのはあくまでも事例ですので、保税倉庫サービスを行う業者によって異なることがあります。
委託先の事業者と相談しながら、自社に最適な保税倉庫を選択してください。

 

まとめ

このコラムでは、輸入ビジネスに便利な保税倉庫のメリットと、その保管料をご紹介してきました。

多くの輸入在庫を個人で管理しようと思うと、予想外のコスト(税金や人件費など)がかかることがあります。

税金がかからない状態で保管できる保税倉庫を利用することで、キャッシュフローが抑えられ、経費の節減にもつながります。
自社の貨物の状態に適した保管体系を選ぶことで、保管料のコストも抑えることができます。

円高・円安などの為替状況によって左右される輸出入ビジネスでは、保税倉庫をうまく使うことによって在庫管理のコストを最適化することができますので、ご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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