ロットとは?メリットや注意点を知って物流業務に活かそう

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「ロット」とは同じ製品をまとめて管理する際の最小単位のことです。物流においてよく耳にする単語ではありますが、ロットの意味や役割について詳しく理解できていない部分もあるでしょう。

ロットやロット管理について正しく理解しておくと、業務を効率化し生産性を向上することにもつながります。本記事では、ロットの意味や役割、ロット管理をするメリットや注意点などについて詳しく説明します。

 

■この記事でわかること

  • 物流業務におけるロット
  • ロット管理を活用するメリット
  • ロット管理をする際の注意点

 

ロットとは

ロットとは、元々「同じ条件で製造した製品の製造数量、出荷数量の最小単位」を指す単語で、同じ製品をまとめて管理する際の最小単位のことです。

物流におけるロットとは、製造、物流、販売、配送の工程で利用される製品の数量をまとめて管理するための単位を指します。ロットを利用することで、製品1つひとつを別々に管理するよりも効率が上がります。

ロットには決まった単位はありません。企業や製品、製造設備や製造コストによっても異なり、1ロット100個の場合もあれば、1ロット1,000個もあります。

1回の製造で100個の製品しか作れない製造設備の場合、1ロットは100個になります。また、大量に製造した方がコストが安くなる場合、1ロット1,000個といった利用の仕方もします。

ロットと似た言葉に「バッチ」があります。バッチとは1回の生産サイクルで生産される単位を意味し、バッチをさらに細分化した単位がロットになります。ただし、業種や分野によって、ロットとバッチを同義語とみなすか、あるいは別の意味としてとらえるかは、文脈によって異なります。

 

蜂巣 稔
蜂巣 稔

ロットには特定の単位はありませんが、概念を理解すると在庫管理の効率化やコスト削減を実現し、不良品発生時に迅速に対応できる、大変便利な考え方です。

物流業務におけるロット

物流におけるロットは物の輸送、保管、配送を行う場合の単位や、荷主との取引単位として利用されます。物流では、作業効率と収益のバランスを両立させるために、ある程度まとまった量をロットとして取り扱います。

ロットの種類

物流におけるロットには主に次の3つがあります。

  • 保管ロット
  • 輸送ロット
  • 配送ロット

 

いずれも保管・輸送・配送工程を効率化するためのものです。輸送ロット、配送ロット、保管ロットのそれぞれの意味について説明します。

 

保管ロット

保管ロットとは、製品をまとまった数量でロット番号に紐づけ、同一条件のもとに保管することです。製品が小さく、各々にロット番号のラベルを貼付したり、バーコードをつけたりすることが難しい場合は、一定のまとまった数量で1つの製品として管理します。

 

輸送ロット

輸送ロットとは輸送効率を高めるために、輸送物を一定数量ごとのロットにまとめることです。ロットに適した積載量のトラックで輸送することでコスト削減になります。

輸送ロットは、輸送手段であるトラックの大きさや輸送量によって変化します。例えば、大ロットは大型トラック(10トン車以上)、中ロットは小型トラックから中型トラック(1トン以上)、小ロットは1トン未満など、トラックの大きさや積載量によって輸送ロットを決定します。

 

配送ロット

配送ロットとは配送効率を高めるために利用されるロットで、配送対象の物をある数量ごとに同一条件で配送するようにまとめることです。

顧客の発注依頼の数量のまま配送した場合は、配送頻度が増加してコストがかさむ可能性があります。配送ロット単位で管理することで、在庫管理もしやすくなり、管理工数を削減できます。

ロットの管理方法

ロット管理では対象とする製品にロット番号を振り、同一ロットごとに保管します。一般的には4桁の製造年(西暦)、2桁の製造月、2桁の製造日の合計8桁の番号をつけます。

ロット管理で重要な点は同じロットを同じ保管場所で管理することです。複数の場所に散在した場合、トータルのロット数量の在庫管理が困難になり、管理上の抜け漏れが発生するリスクがあるためです。

 

蜂巣 稔
蜂巣 稔

ロット管理は複雑な業務のため、属人的な方法で行うことは極めて大変です。ロット管理にはWMS(倉庫管理システム)などを活用すると良いでしょう。

物流業務においてロット管理を活用するメリット

物流事業者がロット管理を利用することで、物流工程の管理の効率化やコスト削減を行えます。具体的にはトラックの積載率の向上や、保管時の管理工数の削減、物流工程の短縮などのメリットを得られます。

在庫管理の品質向上

ロット管理をすると、ロット番号と紐づいた製品の製造日を特定できるため、先入れ先出しが可能になります。

先入れ先出しは、製造日が古い順から出庫するという在庫管理の上で極めて重要な方法です。ロット管理を行うことで、食品やコンタクトレンズなど、劣化により人の健康に影響するような物の在庫管理の品質を損なうことなく、届けることができます

効率的な輸送(輸送の効率化)

ロット単位でトラックに積載することで、効率的に輸送できます。トラックの積載量を満載にした状態が、最もコストパフォーマンスが高い状態です。そのため、トラック1台に満載できる物量を輸送ロットとすることで輸送の効率化とコストダウンを図ることができます。

輸出入で海上コンテナを利用する場合は、1コンテナに満載した状態を輸送ロットとします。海上コンテナの利用は輸出入のコストを下げるために有効な方法ですので、積載に問題ない範囲で詰め込む事がコンテナ単位の輸送ロットになります。

過剰在庫の防止

ロットを指定することで過剰生産による過剰在庫を回避できます。ロットを指定せず、その都度生産数量を決めて製造した場合、過不足や無駄が生じる可能性があるでしょう。過剰在庫は不必要な保管コストや保管スペースの増加につながります。

ロットを指定することで無駄を省き管理コストや在庫コストを削減できます。

トレーサビリティの実現による品質改善

ロット管理を行うことで、不良が発生したロットの特定ができます。

例えば顧客から不良品のクレームを受けた場合、ロットを特定し、対象となる製品の製造履歴や出荷履歴を追うことが可能です。不良品のロット番号が特定できれば、未出荷の在庫が顧客に納品されることを防ぎ、被害の拡大を防げます。

くわえて、調達や製造などの上流工程や原料の改善につなげることができます。

 

蜂巣 稔
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不良品が発生した場合、顧客にはロット番号を確認することが大切です。ロット番号が全ての調査や改善のスタートになると言っても過言ではありません。

物流業務においてロット管理を行う際の注意点

物流事業者がロット管理をするメリットがある一方で、ロット管理を適切に行う上での様々な注意点があります。以下にロット管理を行う際の注意点について解説します。

  • ロットが増えると管理工数も増える
  • 発注数量に注意する
  • ロット管理を最適化する
  • 期限管理を徹底する
  • 分散配置によって出荷リスクを回避する

ロットが増えると管理工数も増える

管理するロットの数が増えると在庫管理が煩雑となり、管理工数やコストが増加する可能性があります

原則ロット毎に保管が必要なため、保管スペースの増加や拡張が必要になるかもしれません。保管スペースの増加は物流コストの増加の要因にもなります。こうした場合はラックなどを利用して保管効率を改善しましょう。

 

蜂巣 稔
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在庫管理では1ロットで1つの棚やラックを利用することが原則ですが、スペースの有効活用のため、1つの棚で複数のロットを保管することもあります。こうした場合、在庫管理システムと現物の保管に齟齬が発生しない様に管理が必要です。

発注数量に注意する

ロット管理の単位が部門間で共有されていない場合、発注部門と物流の現場で数量の誤認が発生する可能性があります。

物流の現場が「1ロット=50個」でロット管理をしているが、発注部門がロットの単位を把握していない場合を例にあげましょう。

発注部門が100個の製品を発注するように指示を受けた場合、発注数量は100個となります。そして、物流の現場に「発注数量が100」と伝えると「(1ロット=50個) ×100=5,000個の発注」と誤認してしまう可能性があります。

ロット管理をしている場合は、発注数量を部門間で確認し入力ミスを防ぐ対策が必要です。

ロット管理を最適化する

ロット管理を最適化する場合、大ロット管理と小ロット対応の双方のバランスを考慮して最適化する必要があります。

例えば、川上の製造工程では大ロットの方がコストメリットがあります。一方、川下の顧客への納品の視点では、顧客ニーズを考えると、小ロットの方が適正な場合があります。

ロット管理の最適化にあたっては在庫管理システムの導入も効果的です。ただし、導入には導入コストや、従業員教育が必要になります。削減されるコストとバランスを見て検討してみましょう。

期限管理を徹底する

賞味期限がある食品などの商品は、ロットにより期限管理を徹底することが極めて大切です。

食品の在庫管理は先入れ先出しが原則のため、後から製造された商品が、前に製造された商品より先に出荷されると大問題になります。食品に関しては業界の3分の1ルールなどもあるため、期限管理を遵守して取り扱わなければなりません。

詳細なルールや期限の内容は取引先や顧客ごとに異なるため、物流担当者と相互に認識をすり合わせておく必要があります

分散配置によって出荷リスクを回避する

物流拠点に複数のロットを分散して在庫させることで出荷リスクを低減できます。

例えば、ある物流拠点に単一のロットしか在庫がない場合を想定します。仮にこのロットに不良品が発生し出荷止めになった場合、この物流拠点から出荷できる製品が無くなります。

出荷ができない状態を回避するために、在庫偏在と出荷バランスの管理が必要です

まとめ

ロットとは同じ製品をまとめて管理する際に使用する、最小単位のことです。物流分野においては保管、輸送、配送工程の効率化と品質向上を図れます。またロット管理を適切に行えばコスト削減につなげることも可能です。

ロット管理を適切に行うためにはノウハウや実績が豊富な物流事業者に依頼することも選択肢の1つです。浜松委托運送ではお客様の物流の最適化を実現する様々なソリューションを提供しています。

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