保税倉庫へ搬入するときの作業詳細と輸出入の手続き

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船や航空機で運ばれてきた外国貨物は、まず保税倉庫へと搬入されます。

その際、どのような手続きが必要で、具体的に何の作業が行われているのかご存じでしょうか。搬入時の手続きを怠った場合、輸入ビジネスに支障をきたしてしまう可能性もあるため注意が必要です。

また、珍しいケースですが、外国貨物を扱うにあたって「仮陸揚げ(かりりくあげ)」が行われる場合もあります。保税倉庫で貨物を保管する際の具体的な手続きと、搬入後の工程について見てみましょう。

保税倉庫へ搬入するときの手続き・作業

外国貨物を一時的に蔵置する役割を持つ保税倉庫ですが、搬入にあたっては一定の手続きが必要です。

ただし、貨物の積卸しが目的ではなく、船や航空機の機器修繕のためやむを得ず入港することもあるかもしれません。その場合の届出は、通常の搬入手続きとどういった点で違うのでしょうか。

外国貨物仮陸揚の届出

関税法には、仮陸揚げという制度が定められています。

仮陸揚げとは「船や飛行機に使われている機械類を一時的に日本国内に持ち込むこと」を指し、緊急時にこうした装置を陸揚げし、修理することを許可した制度です。

たとえば船舶の場合、機器点検・損傷部修理・再塗装などが予定外に必要になったとき、税関に届け出を提出すれば、輸入手続きをスキップして日本国内の工場に持ち込み修理が可能になります。

部品の改造や改変などは想定されておらず、あくまでも修繕を迅速に行うことが目的です。

仮陸揚げの申請は、船長や機長、またはその代理人が税関に対して行います。この場合、関税、輸入消費税の支払いも発生しません。修理が終わったら、そのまま船に戻せます。

仮陸揚届の申請様式については、税関が公開しているPDFをご参照ください。

外国貨物の仮陸揚届|税関

保税倉庫内への搬入作業

保税倉庫での一般的な搬入作業の流れを例に見てみましょう。

  • 外国貨物の取卸手続を経て港倉庫へ搬入
  • 法律に違反するものがないか倉庫内で検査・検品
  • 必要に応じて食品届け・シール貼りなどが行われる
  • 内陸倉庫へトラックで運送
  • 内陸倉庫で保管

東京港・横浜港で輸入されたワインなどは、港倉庫で食品届け・検査・シール貼りなどの作業を終えてから内陸倉庫へトラックで横持ちされるのが一般的です。

輸入申告がされるまで、そのまま内陸の保税倉庫で保管します。

一方、浜松委托運送では、名古屋港または清水港で輸入した貨物をコンテナのまま浜松へトラック輸送し、自社の保税倉庫でのワンストップ物流を実現しました。

このことから横持ち運賃や入出荷保管料金のコストを削減できます。

保税倉庫への搬入後の工程

上記にて、外国貨物の搬入後、検品が行われると説明しました。

これを「他法令手続きに関する検査」と言い、該当する法令が多岐にわたることから承認までにある程度の時間がかかるかもしれません。

輸入者に対して到着通知がされたら、貨物の引き取りのため輸入申告を行います。申告の際、税関長には以下の書類の提出が必要です。

  • 輸入申告書
  • 仕入書(インボイス)
  • 船荷証券または海上運送状
  • 包装明細書(パッキングリスト)
  • 運賃明細書
  • 保険料明細書 など

貨物の出荷は、必要な関税・輸入消費税などを支払ったあとに可能になります。

なお在庫調整などの理由で、保税倉庫に外国貨物を保管しておきたい場合には、搬入してから原則3ヶ月以内に申請が必要です。税関長から承認を得られれば、2年間は蔵置を認められます。

保税倉庫について詳しくはこちらをご覧ください。

保税倉庫とは?搬入から出荷までの流れやメリット・デメリットを紹介

保税倉庫へ搬入する際の手続きを怠ると?

貨物の管理者が保税倉庫への手続きを怠るなど、保税制度に背くことを「保税非違」と言います。

また、たとえ保税非違がなくても、貨物の管理体制が不適切であり、税関が指導を行っても改善が見込まれない場合は、搬入停止処分・保税作業停止・許可取消となる可能性もあるため注意しましょう。

たとえば入港手続きや貨物の積卸しに必要な申告を怠った場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課されます。

処分は点数制によって決定されますが、自ら非違を発見して税関に申し出たり、直ちに改善策を講じたりすることも可能です。その結果、処分が軽くなるケースもあります。

近年の非違傾向を見ると、記帳義務違反が4分の3を占めており、その多くは台帳未作成・記帳漏れ・誤記帳によるものです。

関税法(明治三十二年法律第六十一号)

まとめ

保税倉庫へ搬入する際に必要な手続きや、搬入時の流れについて解説しました。

外国貨物の搬入から引き取りまでには、さまざまな申告や手続き、作業が発生します。港倉庫から内陸倉庫へ移動させなくてはいけない場合、さらに時間と手間が発生する可能性もあるでしょう。

浜松委托運送は、港倉庫と内陸倉庫どちらの役割も果たす10,000坪の保税蔵置所を所有しており、ワンストップ物流を実現しています。

シール貼り、タグ付け、検品まで一貫して行えるため、最短での納品が可能です。コストパフォーマンスの高い物流サービスをお求めの方は、ぜひご相談ください。

浜松委托運送の保税倉庫サービス

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