EC物流とは?入荷から出荷までの仕組みについて詳しく知ろう

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コロナ禍による外出自粛の影響で、ECサイトを利用した買い物は需要が高くなる一方です。それに伴い、配送方法も自宅配送だけでなく、玄関に置いていく方法やコンビニでの受け取り、駅やスーパーでの電子ロッカーなど消費者のニーズに合わせて展開されているため、今後もさらにEC市場は拡大の見込みがあります。

ECサイトからの受注は、インターネットを利用した販売のため、商品の受注から消費者の元へ届くまでに、商品の保管や流通加工、梱包、配送など様々な工程が必須です。

本記事では、EC物流の内容や課題、今後について説明していきます。

EC物流とは?

EC物流とは、インターネット上で展開されている商品やサービスを、ECサイトを通して購入し、消費者の手元に届くまでの流れを意味します。商品の仕入れや検品、倉庫での保管、受注されてからのピッキングや梱包、出荷までがEC物流の主な流れとなります。

EC物流市場の状況

EC物流はEC市場の拡大とともに発展してきました。経済産業省が実施した「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2013年からEC物流市場は右肩上がりで拡大しています。コロナ禍の影響もあり、特に物販系分野の伸びが著しく、今後も右肩上がりで成長していくことが予測されるでしょう。

このような状況下で、EC物流における負担が大きくなることが想定できます。EC市場やEC物流の市況を踏まえ、企業は早期に対応策を打ち出していく必要があるかもしれません。

EC物流の特徴

EC物流の特徴として、以下の項目が挙げられます。

  • 一件当たりの物量は少ないが配送先は多い
  • 出荷波動の差が大きい
  • 顧客に合わせた柔軟な対応が必要

それぞれのポイントを見てみましょう。

一件あたりの物量は少ないが配送先は多い

EC物流には、一件あたりの物量は少ないかわりに配送先は多いという特徴があります。これは、BtoCの取引がその大半を占めることが理由です。

以前はBtoBの企業間取引が多く、配送先に多くの荷物を運んでいました。しかし、ECサイトの普及により一般家庭へ荷物を運ぶ機会が多くなったことで、配送先もそれに応じて増えています。

また、メーカーから消費者に対して直接届けるDtoCも普及してきているため、より多くの配送先に荷物を届ける必要が出てきました。

出荷波動の差が大きい

出荷波動とは、商品を出荷するときに発生する出荷量の増減のことです。EC物流では、キャンペーンや季節的な理由から一時的に出荷量が増え、出荷波動が大きくなるタイミングがあります。例えば、ECサイトのセールや母の日・父の日などのイベントが挙げられるでしょう。

このようなタイミングには消費者の商品の購入が増加し、倉庫の出荷量が大きくなりがちです。EC物流では、出荷波動に対応するために、安定して商品を供給できる体制の構築が求められます。

顧客に合わせた柔軟な対応が必要に

ギフトの名入れやラッピングなど、注文時にさまざまなオプションを付けられるECサイトが今や一般的になりました。商品に合わせた梱包資材を選ぶなど、消費者ごとに柔軟な対応が求められます

また、注文したユーザーの購入回数や会員ランクなどによっても対応を変える必要もあるでしょう。ユーザーに対して好印象を与え、商品を繰り返し購入してもらえるよう、定期購入や商品グレードによって、同梱するチラシを変える工夫などがその一例です。

EC物流の入荷から出庫までの仕組み

冒頭でも述べたように、EC物流は商品の仕入れから出荷までの業務を担います。具体的にどのような流れで行われているのか見ていきましょう。

入荷・検品

まず初めに、在庫数や事前に登録されているデータなどを参考に、何を、いつ、どのくらい仕入れるのかを確認し、商品の入荷を行います

商品が倉庫に届いたタイミングで、傷や初期不良がないかなどの商品の状態を確認するのが検品です。検品を行うことで、消費者への不良品の配送を早い段階で防ぐことが可能です。

保管・管理

検品が終わり、棚入れされた商品の保管は、出荷されるまで倉庫で行います

商品によっては、倉庫内の温度や湿度で品質が落ちてしまうものもあるので、品質を維持するためにも管理は徹底する必要があります。

また、保管している商品の在庫数を確認するのも、商品管理の業務のひとつです。在庫管理のミスは、発送時のミスにつながる可能性があります。会社の利益や消費者との信頼関係にも影響を与えるため注意しましょう。

受注

ECサイトからの商品購入が確定した地点で受注となり、ECシステムの管理画面上で受注処理を進めます

管理画面ではまず、受注画面を確認し、受注処理を行います。決済方法は現金やクレジットカード、銀行振込など種類があるため決済方法ごとに入金処理を行い、その後、配送処理が行われます。

データとして管理することで、これらの処理をより円滑に進められるでしょう。ECシステムと社内の販売管理システムを連携してデータをインポートする会社も多くなっています。

ピッキング・流通加工

受注処理が完了すると、配送に向けてピッキングと検品を行います。

ECサイトからの受注は、家庭や個人向けのものが多いため、シングルオーダーピッキングと呼ばれる、注文が1回入るごとにピッキングを行う方法が主流です。

ピッキングされた商品は、ニーズに合わせて流通加工を行います。名入れや小分け包装など、必要となる工程はさまざまです。倉庫業者によって対応できる内容は変わるため、事前に確認しておきましょう。

 

梱包・出荷

少量出荷の多いEC物流は、梱包の速さ、出荷の的確さが重要です。包装は「個装・内装・外装」の3つが基本とされ、消費者の元に届くまでの間に不備がないよう、商品を保護し品質の維持が行われます。

例えば、商品の大きさや中身を考慮したうえで適切なダンボールや緩衝材を用意する必要があるでしょう。また、消費者の要望に応じて、より専門的な加工業務が発生する可能性もあります。

繁忙期では、配送の際に商品の扱いが荒くなってしまう場合も珍しくありません。しかし、どのような状況下においても破損や不具合につながらないような対応が求められます。

返品対応

返品対応では、一度発送が完了した商品を消費者の希望や、企業の様々な事情で返送された商品の対応をします。

主な内容は、商品受け取り、検品、交換、場合によっては返金も行います。何か不備があった際の返品対応は、消費者との今後の信頼関係にも関わってくるため、丁寧な対応を行うことが重要です。

EC物流の課題

EC市場の拡大とともに、EC物流の需要も今後さらに増加すると考えられます。EC物流が抱える課題を把握することで、課題改善に向けた取り組みに役立ててみてください。

人手不足

ECサイトからの受注数の大幅な増加により、人手不足が深刻な課題となっています。人手不足になることで、対応の遅れによる出荷遅延や、出荷ミスの発生が起きサービスの質の低下につながってしまいます

また、物流業務に多くの時間を割いてしまうため、商品の開発や宣伝に時間をかけることができず、売上の低下、販売機会の低下にもつながるでしょう。

このような人手不足の問題を解決するために、物流自体を代行するという考え方が広まりつつあります。EC物流の代行について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

コストの増加

売り上げが伸びていても、利益が上がりにくいというEC事業者もいるかもしれません。その原因として、コストの増加が挙げられます。

トラックドライバーの長時間労働の見直しが行われたことによる、配送スケジュールの変更や人手不足などから運送コストが高止まりしています。

あらゆる方面の影響を受けて物流コストは上昇しているため、売上が上がっていても直接利益につながることは少なくなってしまうでしょう。

まとめ

時代の変化により、ネットショッピングの需要が高まりつつある現代では、消費者の元に早く正確に商品を届ける必要があります。

EC物流では、多くの人やシステムが、様々な工程を通して商品の出荷を行なっています。現状の課題や今後についてもぜひ、参考にしてみてください。

ECの物流倉庫の特徴や委托するポイントに関してはこちらの記事をご覧ください。

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