ロングテール戦略とは?特徴や実行するためのポイントを解説

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ロングテール戦略とは、ECの販売戦略の一種です。売れ筋商品だけに頼るのではなく、販売総数はそれほど多くないニッチな商品を幅広く取り扱うことで、利益や顧客数を積み上げていく手法を指します。これにより、初期費用を抑えながら売り上げの安定を目指せるのがメリットです。

この記事では、ロングテール戦略の概要やメリット・デメリット、実行するための方法を解説します。ロングテール戦略を理解することで、数少ない売れ筋商品だけに頼らないEC販売を実現できるでしょう。

 

■この記事でわかること

  • ロングテール戦略が注目されている理由
  • ロングテール戦略のメリット・デメリット
  • ロングテール戦略を実行する際のポイント

 

ロングテール戦略とは

ロングテール戦略とは、ECが発展したことで注目を集めるようになったマーケティング戦略です。総数は少なくとも、数多くのニッチな商品を長期間にわたって販売することで利益を積み上げる戦略を意味し、Amazonでも活用されています。

この戦略は、アメリカの雑誌「Wired」の編集長だったクリス・アンダーソンが同誌で提唱しました。細い売り上げの列が恐竜の尻尾のように長々と続いていくことから、ロングテール戦略と呼ばれています。商品の種類が多くなるほど、ロングテールの部分は長くなるのが特徴です。

この戦略では、埋もれている商品・サービスで顧客数や利益を増やし、売り上げを積み重ねていきます。「売上の8割は全体の2割の主力商品から生み出される」というパレートの法則に対し、主力商品でなくとも多数かつ長期間の販売の累積によって利益を積み上げるための戦略といえるでしょう。

ロングテール戦略が注目される理由

この戦略が注目されるようになった背景には、Webマーケティングの普及があります。インターネットが発展し、リアルの店舗に商品を陳列しなくても商品が販売できるようになりました。ECサイトに商品画像と説明を掲載すれば、理論的には無限大の商品を販売することが可能です。さらに売れ筋商品か否かを問わず、多数の商品をコミュニケーションコストがゼロに近い状態で販売できます。

これまでのように、80:20のパレートの法則に則り、売り上げの上位20%の商品にリソースを集中する必要はありません。ロングテール戦略は長く売れるニッチ商品を数多く扱えるため、売り上げを安定化させられます

蜂巣 稔
蜂巣 稔

ロングテール戦略では、トレンドによる影響が低く積極的なマーケティングや販売促進の施策を行わずとも、サイトに掲載しておけば商品が自然に売れていく点がポイントです。

ロングテール戦略のメリット

ロングテール戦略には、以下の3つのメリットがあります。

  • 売り上げが安定する
  • 不良在庫という概念がなくなる
  • コストパフォーマンスが良い

人気商品だけに頼りきりの販売方法とは異なり、流行などに左右されず売り上げが安定しやすいことが大きなメリットです。また、売りたい商品をすべてECサイト上で取り扱えるため、不良在庫を抱える心配もありません。

売り上げが安定する

ロングテール戦略は、特定の商品に依存せずに売り上げを立てられます。商品販売は一般的に、人気商品やヒット商品などに依存しがちです。しかし、一つの商品に売り上げが依存している場合、その商品の人気がなくなると全体の売り上げも低下するリスクがあります。

一方、ロングテール戦略では多くの商品を長く取り扱うため、売り上げが急落するといった心配がありません。季節やイベントによる流行や短期的なブームにも左右されにくい点も、安定的な売り上げにつながります。加えて、多数の商品を売ることでさまざまなニーズを拾いやすく、競争力が強化できる点も特徴です。

不良在庫という概念がなくなる

ロングテール戦略では、販売したいすべての商品をECサイト上に提示できます。物理的な販売スペースに限界がなく、つねに販売可能な状態を維持できることから、短期的には難しくとも長期的には売り上げを上げる可能性があるでしょう。そのため、不良在庫という概念がありません。

ECサイトでは時間の制約を受けることもなく、24時間・365日にわたって、休日や祝日も関係なく商品を販売可能です。時間の制約による機会損失もないだけでなく、さらに実店舗にいかずとも商品の購入や配送ができるなど、物理的な場所の制約もありません。

コストパフォーマンスが良い

ロングテール戦略は、在庫の仕入れ以外の初期費用が不要であることも大きなメリットです。サイト制作コストやWebの運営費用のみでビジネスを行えるため、コストパフォーマンスに優れた販売方法といえます。賃貸料を支払いながら実際の店舗で行う販売と比べて、低コストで長い間安定した売り上げを立てられるでしょう

インターネットの普及により、これまでのような実店舗販売の制約がなくなり、時間や場所、人気商品に頼らなくとも売り上げを作れるようになりました。

蜂巣 稔
蜂巣 稔

実店舗にニッチな商品を全て並べることには限界があります。かつ顧客が必要とする商品に到達するためには、時間や手間が発生します。ロングテール戦略は顧客とニッチな商品を短時間かつ低負荷で結ぶ方法とも言えるでしょう。

ロングテール戦略のデメリット

ロングテール戦略には、ここまで紹介したようなメリットが期待できる一方で、以下のようなデメリットも存在します。

  • 即効性がなく結果が出るまでに時間が必要
  • 多数の商品の在庫管理にコストがかかる
  • 商品ページの作成に手間がかかる
  • Webマーケティングスキルが必要

数多くの商品を長く取り扱うという戦略の性質上、売り上げとして結果が出るまでには時間がかかるかもしれません。また、在庫管理のためのコストや手間が伴うという点にも注意が必要です。

即効性がなく成果が出るまでに時間が必要

ロングテール戦略は、ニッチで販売数量が少ない商品の売り上げを長期間で積み上げていく方法です。売り上げが立つのには時間がかかるため、根気強く継続することが重要です

ロングテール戦略は、ヒット商品や看板商品に頼るわけではないぶん、即効性がなく、短期的な売り上げは小さくなります。また、顧客がサイトを訪問し、望む商品に行き着くまでにも時間を要するでしょう。顧客の流入までに時間がかかることを考慮しないと、大量の在庫を抱えるリスクがあるため、仕入れや調達のタイミングについても注意が必要になります。

多数の商品の在庫管理にコストがかかる

ロングテール戦略の基本は、数多くの商品を販売することです。多様な商品を抱えるため、在庫する品目数が増加します。そのため倉庫などの物流拠点では、在庫管理スペースを適宜拡大する必要があるでしょう。

物流拠点における在庫管理上、複数のアイテムを混合して保管することは原則的に困難です。数量が少なくともそれぞれ異なるスペースへの保管が必要となるため、在庫管理コストや在庫管理の難易度が上がります

ロングテール戦略の実行に合わせて物流をアウトソーシングする場合には、在庫管理を得意とする倉庫会社に依頼するのがおすすめです。浜松委托運送では、自社独自のWMSを利用し、高品質な物流を実現しています。EC販売の実績も豊富なため、ロングテール戦略に伴う在庫管理においてお悩みがある方は、ぜひご相談ください。

商品ページの作成に手間がかかる

扱う商品がニッチかつ販売数量が少ないからといって、商品ページの作成を手抜きすることはできません。販売量が多い主力商品と同様に、しっかりと作り込む必要があります。さまざまな商品を販売して売り上げを積み上げることが、ロングテール戦略のポイントとなるためです。

これに伴い、商品ページが増えるたびに更新作業の手間が発生する点はデメリットといえます。商品ページの更新作業には手間がかかり、メンテナンスの負荷も高いため、外注も視野に入れましょう。

Webマーケティングの知識が必要

ロングテール戦略には、サイトのドメインパワー(検索エンジンからの信頼度)が必要です。新しいページは集客が難しいといった傾向もあるため、自社のECサイトを上位表示させるには、Webマーケティングの知識とSEO対策が欠かせません

顧客を自社サイトに流入させるためには、集客力が必要です。適切なプラットフォームの選択やSEOに適したサイト構築、積極的にSNSを活用するなどして集客力を高めるようにしましょう。

ロングテール戦略を実行するための方法

ロングテール戦略を効果的に実行するには、次の3つの方法が必要です。

  • 顧客・ターゲット分析
  • ECサイトの構築
  • SEO対策を行う

上記でも触れたとおり、自社サイトの集客力を上げるためにはSEO対策が必須となります。顧客となるターゲットを分析し、検索エンジンで上位表示されるECサイトを目指しましょう。

顧客・ターゲット分析

ロングテール戦略は、特定の商品に絞らずに最初から複数ジャンルの商品を取り扱うため、仕入れや在庫管理にかかるコストが膨大になるリスクがあります。余計なコストを抑えるためには、購買履歴やサイトの閲覧履歴などをもとに、ターゲットとなる顧客の属性を知る顧客分析が必要です

また、長期的に売れ続けているものはどのような商品なのかなど、需要予測も必要になります。多数の商品を扱うといえども、売り上げにつながるジャンルの見極めを意識しましょう。

ECサイトの構築

ロングテール戦略の効果を上げるには、ECサイトの構築が必須です。サイト設計は、検索エンジンで上位表示されるように行いましょう。また、サイトは一度構築したら終わりではありません。商品の詳細情報や関連情報の記載、ページの随時更新など、つねに上位表示がされて顧客が流入するような工夫と作り込みが必要です

さらにUIやUXにこだわった商品ページは顧客の購買意欲を高めてくれるでしょう。こうした継続的なサイト運営が売り上げにつながります。

SEO対策を行う

ECサイト構築とともに、SEO対策も重要視すべきポイントです。ECサイトは、検索エンジンのアルゴリズムの影響を受けるため、上位表示がされるサイトを制作しなければなりません。

ネットユーザーのアクセスは、上位表示されたサイトに集中し、自社サイトが上位表示されることでユーザーに商品を見つけてもらいやすくなります。SEOコンテンツの制作をはじめとして、ドメインパワーがあるWebサイトの育成には時間がかかるため、長期的な計画で進めていきましょう

蜂巣 稔
蜂巣 稔

ロングテール戦略では商品を見つけてもらうためのSEO対策が極めて大切です。サイトが多数ある中、顧客が商品につながるための導線設計はしっかりと行いましょう。

まとめ

ロングテール戦略とは、特定のヒット商品や人気商品に依存するのではなく、商品力がそれほど強くないニッチな商品でも長期間にわたって売り続ける方法です。これにより売り上げの安定化や不良在庫からの解放といったメリットが期待できますが、一方でECサイトの構築や継続的なアップデート、SEO対策などが必要になります。

EC販売に関するお悩みがある方は、経験と実績が豊富な浜松委托運送にご相談ください。販売戦略から物流のプロセスまで、一気通貫にご対応することが可能です。

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