在庫回転率とは？意味や計算方法、商品回転率・利益率を上げる方法を簡単に解説

在庫回転率とは、一定の期間の間にどれだけ在庫が入れ替わったのかを表す数値を指します。在庫回転率がわかれば、自社の在庫の動きを把握でき、顧客の需要やニーズの予測にも役立つでしょう。

特に小売業界は、在庫回転率が直接売り上げにつながるため、収益に課題を感じているのであれば、まずはどれぐらいの在庫回転率なのか計算してみてください。

この記事では在庫回転率を知りたい方に向けて、在庫回転率の意味と計算方法を紹介します。在庫回転率を高める方法についても解説していますので、ぜひご覧ください。

■この記事でわかること

在庫回転率とは

在庫回転率の意味

在庫回転率とは、棚卸資産（今ある在庫の金額）と売上原価を比較し、在庫が一定の期間中にどれだけ入れ替わっているのかを算出した数値のことです。在庫回転率が高いほど、製品がすぐに売れていることが考えられますが、在庫回転率が低いと在庫が滞留している状態となります。

また、業界や企業によって適切な在庫回転率は異なります。そのため、在庫回転率を比較する際は、競合他社や業界の標準数値と比較して、在庫管理の評価を行うことが一般的です。

在庫回転率を把握すべき理由

在庫回転率の把握によって、在庫の動きが可視化できるため、自社の経営状態の評価に役立ちます。 また、在庫過多や在庫切れの状態も把握できることから、キャッシュフローの最適化にもつながります。

前述の通り在庫回転率が高い状態は、短期間で売り上げに転じているといえます。一方、在庫回転率が高すぎる場合は、販売機会の損失に注意しましょう。

また、在庫が過剰に回転すると、需要に対して供給が追い付かず、商品を販売したくても在庫が不足するリスクが生じます。そのため、適切な在庫のバランスを保つことが大切です。

在庫回転率の求め方と傾向

在庫回転率は主に2つの方法で計算できます。ここでは在庫数の計算方法と適正在庫回転率の平均値を業種別に紹介します。

在庫数による計算方法

在庫回転率を在庫数量で求める場合は、先に平均在庫数を計算してから在庫回転率を算出します。計算式は以下のようになります。

・平均在庫数
平均在庫数 = (期首在庫数 + 期末在庫数) ÷ 2

・在庫回転率
在庫回転率 = 出庫数 ÷ 平均在庫数

金額による計算方法

在庫回転率を金額で求めるのであれば、売上原価で求めてから在庫回転率を計算します。その場合の計算式は以下の通りです。

・売上原価
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 – 期末商品棚卸高

・在庫回転率
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 棚卸資産

【業種別】適正在庫回転率の平均値

各業種における適切な在庫回転率の平均値は、業界や市場によって異なります。下記の表は令和4年度の中小企業実態基本調査の情報を参考に「売上原価 ÷ 棚卸資産」で計算した在庫回転率の一覧です。

その中でも運輸業・郵便業は、保有する在庫数に対して売り上げが大きいため、回転率が高いことがわかります。

※小数点第二位以下は四捨五入

特に小売業では、適正在庫回転率が重要な役割を果たします。これは製品や商品の供給と需要が日々変動し、在庫回転率が売上と収益の最大化につながることが理由です。

また、店舗経営が年を追うごとに効率的でなくなる傾向があります。以前ほど利益が上がらないと感じているのであれば、一度どれぐらいの在庫回転率なのか確認してみることをおすすめします。

在庫回転率を計算・把握するメリット

在庫回転率を計算・把握することで、適切な在庫管理につながります。ほかにも顧客ニーズの把握や需要予測にも役立つでしょう。ここでは在庫回転率を把握することで得られるメリットを紹介します。

顧客ニーズの把握による利益率の高い店舗づくり

在庫回転率が高く売れ筋の商品が把握できれば、仕入れを増やすことで売り上げの増加につながります。ほかにも、回転率の低い死に筋商品を特定し、在庫数を削減することで、保管スペースを最小限に抑え、保管費用や人件費も削減できるでしょう。

このように、在庫回転率を通じて顧客ニーズが把握できれば、売れ筋商品の在庫が増え、死筋商品を減らせるため、結果的に利益効率の高い店舗体制を築くことができます。

将来の需要予測

在庫回転率を把握することは、将来の需要予測に役立ちます。在庫回転率が高い商品は、購入頻度が高く、顧客から求められている商品といえるでしょう。商品の需要を見越して欠品しないよう仕入れ体制を整えられれば、販売機会も逃さずに済みます。

一方、在庫回転率の商品は、在庫が滞留しており、保管コストが発生していることが考えられるでしょう。このような商品は、廃棄やセールなどで在庫を減らす取り組みが求められます。

在庫回転率を高める方法

在庫回転率を高めるには、まず目標となるKPIを設定し、在庫と販売状況を見直しましょう。ここでは在庫回転率を高める方法を紹介します。

在庫回転率のKPIを設定する

在庫回転率を高めるには、目標となる在庫回転率の数値(KPI)を設定しましょう。目標数値を設定する際には、以下の式が参考になります。

• 年間の目標売上金額 ÷ 目標となる平均在庫金額

たとえば年間の売り上げ目標が3000万円、目標となる平均在庫金額が150万円であれば、在庫回転数のKPIは20となります。

また、KPIを決める際は、同業他社の在庫回転率も調べておくと、業界水準に沿った具体的な目標が設定できます。

システム導入により在庫と販売状況を見直す

在庫回転率を高めるためには、倉庫内のロケーション管理を見直すことも重要です。商品を保管する倉庫内が整理されていないと、紛失や汚損の原因となり、在庫回転率の低下にもつながります。

また、在庫の可視化や効率的な運用まで改善したいのであれば、WMSの導入も検討も方法です。ほかにもPOSレジを導入していない場合は、新たに導入することで、売上情報や在庫状況がリアルタイムで把握でき、在庫管理の改善にも役立つでしょう。

リードタイムを短縮する

小売業におけるリードタイムとは、注文してから商品が消費者の手元に届くまでの期間を指します。リードタイムを短縮し、速やかに欲しい商品を届けることができれば、顧客満足度が向上し、リピーターの増加にもつながります。

在庫回転率を上げるには、繰り返し購入してくれるリピーターの存在が重要です。特にECサイトでは、リードタイムの短さがそのサイトの評価にもつながります。在庫回転率を高めたいのであれば、リードタイムの短縮も目指しましょう。

まとめ

在庫回転率がわかると、在庫の動きが把握でき、在庫数の調整や需要予測に役立ちます。特に小売業界は在庫回転率が直接売り上げにつながるため、在庫回転率を高めるための取り組みが重要です。

在庫回転率を高めるためには、リードタイムの短縮やシステムを導入する方法があげられます。しかし、人手やコストが必要になるため、自社での改善が難しい場合は、物流工程ごとアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか？

浜松委托運送は、独自のWMSにより、お客様の物流に合わせてシステムをカスタマイズし、正確な在庫管理をサポートいたします。在庫回転率が高い状態を維持できるよう事業者様と連携できる体制も整えていますので、在庫管理に悩みを持つ方はぜひご相談ください。