2024年問題の罰則は?罰金や荷主が科される罰則を解説

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働き方改革関連法によってトラックドライバーの時間外労働時間の上限が960時間に定められました。2024年問題は、この上限規制によって生じるさまざまな問題のことです。

2024年問題による影響は、物流企業やトラックドライバーだけでなく、荷主も大きく関係します。特にトラックドライバーの年間の労働時間を減らすためには、物流業界全体で取り組みが求められており、荷主側での改善も必要です。

また、ドライバーの時間外労働に荷主が関与していた場合は、勧告や荷主名が公表される可能性があります。

このようなリスクを避けるためには、荷主側も罰則の内容を理解し、長時間労働の削減に取り組む必要があります。この記事では荷主が2024年問題に違反したときの罰則について解説します。

 

■この記事でわかること

  • 2024年問題に違反したときの事業者の罰則
  • 2024年問題に違反したときの荷主の罰則
  • 荷主勧告制度の概要

 

2024年問題に違反したときの罰則

2024年問題に違反したときの罰則

働き方改革関連法の規則に違反したときの罰則は、法的根拠に基づいて明確に定められています。ここでは罰則の内容と法的根拠を紹介します。

罰則の内容

2024年から施行される働き方改革関連法の規則により、トラックドライバーの年間の時間外労働時間の上限は960時間までとなります

事業者はこの規制に違反すると労働基準法第119条1項の規定によって罰則を受けます。具体的な罰則の内容として、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります

時間外労働時間の超過は、これまで罰則規定がなく、行政指導のみとなっていましたが、改正によって新たに罰則が追加されました。

しかし、時間外労働時間の上限を超えたからといって、すぐに罰則が行われるわけではないでしょう。行政指導に従わない場合や改善が見られず、悪質な違反と判断された場合は、罰則が科されることが考えられます。

参考:e-GOV法令検索

罰則の法的根拠

上述した罰則には、働き方改革関連法による法的根拠があります。

一般的な企業では、大企業が2019年4月、中小企業では2020年4月から時間外労働時間の上限規制が始まりました。しかし、トラックドライバーに関しては、物流業界の労働環境を考慮して猶予が設けられています。

しかし、2024年4月1日からはその猶予が終わり、時間外労働時間の上限規制が行われます。トラックドライバーの上限は、960時間とほかの業種と比べて高めに設定されていますが、現状のトラックドライバーの時間外労働時間の状況を踏まえると、早急な対策が必要になるでしょう。

参考:厚生労働省

2024年問題で荷主が科される罰則

2024年問題の罰則はトラック事業者が対象となるため、荷主が受ける罰則はありません。しかし、荷主勧告制度によって、荷主が長時間労働に関与していた場合は、ペナルティを受けるリスクがあります。ここでは勧告制度の内容や2024年問題における荷主への影響を解説します。

荷主勧告制度の発動

荷主勧告制度は、ドライバーの労働条件改善を目的に、荷主に対して適切な行動を奨励する措置です。そのため、ドライバーの長時間労働に荷主が関与している場合は、荷主の協力要請が求められるようになりました。

たとえば、荷主がドライバーの法令違反に主体的に関与していることがわかれば、荷主勧告が行われるだけでなく、荷主名も公表されるようになりました。

また、荷主が主体的ではないものの、法令違反に関与している場合についても、行政機関により警告が行われます

具体的には、長時間運転を前提とした到着時間の設定や、積み込み直前の増量依頼は、荷主勧告につながるため、荷主側による改善が必要です。

警告の発令後、同様の事案が再発した際は、再度荷主勧告が行われます。荷主勧告を受けないためにも、コンプライアンスの強化やドライバーの待遇を見直しましょう。

参考:関東運輸局

厚生労働省の荷主特別対策チームが発足

厚生労働省は、2024年問題におけるトラック運転者の長時間労働を改善するために、「荷主特別対策チーム」を発足させました。このチームは、荷主などによるドライバーの長時間・過重労働の解決を目的としています

また、厚生労働省では、ホームページに相談窓口を設け、長時間の荷待ちに関する情報を集めています。集まった情報をもとに労働基準監督署の要請が行われるため、荷主はこれまで以上に長時間労働の改善に向けた取り組みが求められるでしょう

その他に考えられる荷主への影響

2024年問題により、輸送距離の制限や運賃の上昇などが考えられます。これにより、荷主の利益が圧迫する可能性も考えられるでしょう。特に、長距離輸送を行う荷主にとって、輸送制限や運賃上昇は、大幅な物流コストの増加につながります。

また、運送会社への契約条件もこれまでより厳しくなることが考えられています。荷主はドライバーの時間外労働に関する新しいルールを理解し、委託先との契約条件への反映が求められるでしょう。場合によっては運送会社から値上げを要求されることもあるかもしれません。

まとめ

2024年問題における罰則は、事業者が対象となりますが、荷主側も荷主勧告制度によって勧告や荷主名が公表されるリスクがあります。荷主側でドライバーの時間外労働を削減するためには、荷待ちを発生させない取り組みなどが大切です。

しかし、自社で改善を行おうとすると時間やコストがかかるため、早急な対応に課題を感じる事業者も多いでしょう。その場合は物流工程ごと専門会社にお願いすることで、労働環境の改善を図ることができます。

浜松委托運送は、効率的な物流システムを通じてドライバーの残業時間を削減します。ドライバーの業務時間を改善しながら物流事業に取り組んでいるため、物流のアウトソーシングに課題を抱えている荷主様はぜひご相談ください。

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