3PLを導入するメリット・デメリットは?

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3PL(Third Party Logistics)とは、倉庫の在庫管理や輸送といった物流業務を自社で行わず、専門的な外部業者にその一部または全般を委託する業務形態をいいます。国土交通省は、CO2排出量の削減や地域雇用の創出等の観点から、3PL事業を推進するため様々な支援を行っています。

3PL導入によって委託元企業は、入庫~出荷までの業務を委託できるのはもちろん、サービスレベルの向上・コストダウンといった効果も期待できる点が大きな特徴です。

3PLとは?物流ビジネスへの影響や倉庫業との違いを解説

3PLのメリット

3PL事業者に業務を委託することで、委託する側はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。3PL導入によるメリットについて、代表的な5つをご紹介します。導入を検討する上での参考にしてください。

生産性の向上

3PL導入のメリットとしてはまず、生産性の向上が挙げられます。外部業者への委託コストが、自社で物流業務をまかなう場合のコストと同等だったとしても、委託によって社内の業務効率が上がれば、より多くの商品を製造・出荷できます。結果として、売上向上にもつながるでしょう。

また、売上向上につながらなくとも、3PL導入によって固定費が変動費に切り替われば物流コストを削減しやすくなり、企業全体の利益を増加できます。

加えて、外部業者に物流業務を委託することで、出荷波動に対して適切な対応ができるようになり、安定した供給が実現できます。これもまた、生産性の向上に役立ちます。

コスト削減効果

主力事業に注力できる

3PL事業者に物流業務を委託することで、物流に割いていた時間や人材を基盤事業に注力できます。たとえば、自社製品の製造や開発、マーケティングなどに取り組めるほか、商品の調査や広報活動などの業務に専念できるようになるでしょう。

特に物流が基盤事業ではない企業の場合、その影響は大きくなると考えられます。

キャッシュフローの改善

キャッシュフローの改善も、3PL導入のメリットの1つです。

自社で物流業務を運用する場合、人件費や運送費、倉庫費などは固定費となります。一方、外部委託すれば変動費になり、削減しやすくなります。

特に大きな効果が期待できるのが人件費です。業界全体の人手不足が解消されない現在では、一度採用した従業員を安易に増減させることはできません。

物流業務を委託すれば、輸送貨物の量や種類に応じて委託先業者が人員の調整をしてくれるので、常に適切なリソースで業務を行えます。結果的に、自社のキャッシュフローの改善につなげることが可能です。

物流品質の向上

3PL事業者と契約すれば、事業者が持っている効率的な輸送網をそのまま利用できます。そのため、配送時間の短縮やミスの削減が可能となり、自社では簡単にできないような業務改善を実現できるでしょう。

在庫管理システムやWMS(倉庫管理システム)を導入している事業者なら、システムによって正確な在庫数を把握することも可能です。突発的な発注に備えて余剰在庫を抱えた結果、不良在庫になってしまうような事態も減らせるでしょう。

このように、3PLの導入によって物流品質を高く維持できれば、結果的に顧客満足度の向上につながっていきます。

販路の拡大

3PL事業者に業務を委託することで、自社では難しかった、販路拡大に取り組める可能性も出てきます。

例えばECサイトなどの場合、配送先や配送方法が煩雑で、最適な配送ルートを割り出す作業は大きな負担となります。自社で物流も行っている企業のなかには、そのせいで新しい販路の開拓になかなか挑戦できず、悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

しかし、専門知識を持った3PL業者と契約すれば、配送先や配送方法が複雑であっても最適な配送ルートを構築でき、遅延やトラブルのリスクを減らせます。結果として、販路拡大に取り組む余力が生じるでしょう。

労務リスクの排除

近年、労務に関するトラブルが表面化しやすくなっています。自社で労働環境に関するトラブルが起きてしまうと従業員のモチベーションも下がってしまい、離職する人が出てくるかもしれません。

労務トラブルが起きないよう、物流領域に関わる人たちの状況を確認する必要がありますが、人数規模が多いところでは、業務を圧迫してしまう可能性も考えられます。3PL事業者に物流業務を委託すれば、こういった労務リスクを軽減できます

3PLのデメリット

3PL事業者に業務を委託することで、委託する側にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。3PLを導入するなら知っておきたいデメリット5つについて解説します。導入を検討する際は、メリットとあわせて確認しておきましょう。

現場の状況がわかりにくい

物流業務の一部あるいは全般を外部に委託するため、物流現場の実態や状況はわかりにくくなります。何か問題が発生した場合は情報収集に時間がかかり、対応が遅れてしまうかもしれません。

そのため、イレギュラー発生時にはどういう対応をするのか、委託業者とあらかじめ取り決めておくことが必要となります。また、現場へ定期的に足を運んだり、状況を視覚化できるようなシステムを構築したりと、契約前に様々な対策を検討しておくのも大切です。

物流の委託先が固定される

物流業務の委託先を頻繁に変えるのは現実的ではありません。したがってパートナーとなる物流企業は固定化される傾向にあります。3PL事業者にもそれぞれ得意分野と苦手分野がある点を踏まえ、自社の課題を解決できる事業者を選定しましょう

例えば、輸出入の業務を行なっている企業なら、海外への流通を得意としている委託業者を選ぶことが重要です。

契約(線引き)が煩雑になる

契約や線引きの煩雑さも、3PL導入にあたってのデメリットとして考えられます。

物流業界では、3PLの契約に関する標準的な価格が設定されていません。3PL事業者や委託業務の範囲によって費用相場が異なり、その透明性が問題視されています。

また、物流業務は多岐にわたるため、業務の規定や委託する範囲などの線引きも曖昧になりがちです。契約にあたっては、のちに大きなトラブルにならないよう、業務内容、課金項目や料金などの詳細を決めて、書面として残しておくことが大切です

物流ノウハウが蓄積されない

3PL事業者に物流業務を委託すると、自社の基幹業務に集中できる一方で、自社内に物流のノウハウが蓄積されません。物流に詳しい人材も育ちにくくなります。

物流のノウハウが十分ではなかったり、物流に詳しい人材がいなかったりすれば、将来的に自社で物流を行う際や、委託業者との交渉時に不利になる可能性があります。この点も、3PL導入のデメリットといえるでしょう。

最適化の提案を積極的にしてくれない可能性がある

3PLの導入にあたって、委託元が物流の最適化を期待するのはごく自然なことです。しかし、3PLの事業者からすると、最適化によって売上減少につながる可能性があることから、業務改善に関する提案を自発的にしてくれないことも考えられます。

ただし、委託元の企業には物流のノウハウが蓄積されにくいため、自社で物流の最適化に向けた戦略づくりをするのは、非常に難易度が高いといえます。

普段から3PL事業者と情報を共有し、最適化の提案をお願いすることも視野に入れておけると良いでしょう

まとめ

3PLの導入は、自社の経営改善に貢献する有効な手段となりえます。ただし、3PL導入を成功させるには、メリット・デメリットの両面を理解し、自社の業務に寄り添ってくれる適切な事業者を選ぶことが非常に重要です。

浜松委托運送は、静岡県浜松市に拠点を構えています。東西への交通アクセスがいい浜松という地の利を生かし、「通販物流代行」「受注代行サービス」「流通加工サービス」「保税倉庫サービス」などの多種多様な物流サービスを展開し、実績も多数あります。

3PLの導入を検討されている方は、ぜひ一度、当社にお気軽にお問い合わせください。

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