冷凍食品を輸入したい!必要となる対応と書類について確認しよう

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輸入冷凍食品を国内で販売するためには、いくつかの手続きを踏む必要があります。輸入食品の安全性を守るべく、農林水産省・厚生労働省・財務省の3つの省庁がチェック体制をとって、それぞれ異なる法令を所管していることがその理由です。

本記事では、海外から冷凍食品を輸入するときの流れと輸入手続きに必要な書類について解説します。スムーズに手続きを進めるためにも、輸入前にあらかじめ確認しておきたいポイントも確認しておきましょう。

海外から冷凍食品を輸入するときの流れ

冷凍食品を輸入する際は、以下3つの工程を踏むことになります。

  • ・農林水産省の管轄する防疫所・検疫所で確認を受ける
  • ・厚生労働省の管轄する食品検疫所で確認を受ける
  • ・税関で書類審査、場合によっては現物検査を受ける

輸入許可が下りるまでの流れをそれぞれ詳しく見てみましょう。

防疫所・検疫所(農林水産省)での確認

日本に到着した冷凍食品は、品目によって農林水産省が管轄する植物防疫所、または動物検疫所による確認が行われます。植物防疫所で対象となるのは農産食品類、動物検疫所で対象となるのは水産加工物や畜産加工物に該当するものです。冷凍ケーキや冷凍餃子などの冷凍食品は対象になりません

各担当所の役割は以下のとおりです。

担当 目的
植物防疫所  有害な病害虫などが国内に侵入することを防ぐため
動物検疫所  畜産物(※)を介した家畜の伝染性疾病を防ぐため

※畜産物には、一部水産動物を含む

農林水産省での確認が完了したら、厚生労働省の検疫所に輸入届出がされて、次の検査へと移ります。

検疫所(厚生労働省)での確認

外国から輸入されるすべての食品は、厚生労働省の食品衛生法の対象となり、検疫所での審査・検査が必要です。審査・検査は、厚生労働省作成の輸入食品監視指導計画に基づいて行われます。冷凍食品の規格基準は、厚生労働省ホームページから確認可能です。

輸入者から提出された書類をもとに審査を行い、違反の可能性が高いと検査を命じられることもあります。クリアできなければ国内への輸入は認められません。それ以外は計画的な抜き取り検査が実施され、問題がなければ食品等輸入届出済証が発行されます。

税関(財務省)での確認

現在、税関での輸出入手続きはNACCSという輸出入処理システムにより処理されるのが一般的です。このシステムで輸入申告された貨物は、以下の3つの区分で判定されます。

  • 区分1. 簡易審査扱い: 輸入(納税)申告後直ちに輸入許可されます。
  • 区分2. 書類審査扱い: 税関に通関書類を提出して審査を受けます。
  • 区分3. 検査扱い: 税関員が現物検査を行います。

引用:輸入における税関の書類審査と現物検査:日本

このうち、区分2と区分3に該当する場合は書類審査と現物検査が必要です。検査は輸出入者の通関実績やHSコードなどを加味して行われます。

書類審査の確認項目は、品目分類や関税率、関税額などです。さらに輸入禁制品に該当しないか、他法令による規制をクリアしているかなどについてもチェックされるでしょう。

通関とは何をするところ?流れや申告方法を紹介 >>

冷凍食品を輸入する前に確認したいこと

冷凍食品を輸入する際には、上記で紹介した審査・検査などが実施されることを想定して、あらかじめ確認しておきたいことがあります。仕入れ先から届いた書類の内容が不十分であれば、早めに問い合わせておきましょう。

製造工程表と原材料表

厚生労働省に対して提出する書類に、製造工程表原材料表があります。製造工程表は、加熱工程があれば加熱の種類・温度・時間などを記載、冷却や殺菌工程があればそれぞれの方法を記載しましょう。そのほか「加熱して食べるものか」「加工工程で凍結直前に加熱処理がされたか」などの情報も必要になります。

原材料表では、原材料割合(%)に加えて、医薬品成分や遺伝子組み換え食品を含む場合などはその旨も記載します。食品衛生法の基準に満たない場合は輸入できないため、放射線照射による殺菌をしていないこと、日本では使用不可の添加物が含まれないこともポイントです。

HSコードと関税

関税額を算出する際に、HSコードとそのコードごとに決められている関税率の確認が必要になります。HSコードとは、国際条約に基づく世界共通の商品別コードのことです。

輸入した冷凍食品の区分や関税率がわからない場合は、税関による関税分類の事前教示制度を利用しましょう。税関窓口での相談や電話のほか、メール、文書での照会が可能です。より正確な内容での回答を求めるのであれば、文書での問い合わせをおすすめします。

規格基準の確認

厚生労働省は、冷凍食品を5種類に分類したうえでそれぞれに規格基準を設けています。分類は以下のとおりです。

分類名 詳細
無加熱摂取冷凍食品   冷凍食品のうち、食べる際に加熱が不要なもの
加熱後摂取冷凍食品   加熱して食べる冷凍食品のうち、凍結の直前に加熱工程があったもの
加熱後摂取冷凍食品   加熱して食べる冷凍食品のうち、凍結の直前に加熱工程がなかったもの
生食用冷凍鮮魚介類   生食用の鮮魚介類の冷凍食品
切り身又はむき身の冷凍鮮魚介類  生食用ではない鮮魚介類の冷凍食品

 

例えば、無加熱摂取冷凍食品の基準は次のように定められています。

成分規格  ・細菌数(生菌数):100,000 以下/g
・大腸菌群:陰性
保存基準  ・-15°以下で保存
・清潔で衛生的な合成樹脂、アルミニウム箔
 または耐水性の加工紙で包装して保存

 

規格基準に関する情報は、厚生労働省が所轄する検疫所での審査時に必要です

冷凍貨物の輸入手続きに必要な書類

冷凍食品の輸入手続きする際には、必要書類に不足がないかきちんと確認しておきましょう。製造工場や海外フォワーダーから受け取る書類のほかに、輸入者自身で作成する書類もあるため、早めに準備しておくと安心です。

輸入通関に必要な書類

輸入通関に必要な書類は次のとおりです。

  • 製造工程表
  • 原材料表
  • インボイス(仕入書)
  • パッキングリスト(包装明細書)
  • 船荷証券(航空運送上)
  • 貨物到着案内書(アライバル・ノーティス)
  • 食品等輸入届出

このうちインボイスとパッキングリスト、食品等輸入届出は輸入者が用意する書類になります。

「食品等輸入届出」の作成

冷凍食品を輸入する際は、厚生労働省に対して食品等輸入届出の提出が必要です。作成の流れは大まかに次のようになるでしょう。

  • ①作成にあたっての資料収集
  • ②食品衛生法に適合しているかの確認
  • ③食品等輸入届出の記入
  • ④食品等輸入届出の提出・審査

製造工程表・原材料表・インボイス・パッキングリストなどをもとに申請書類を作成したら、厚労省食品監視課に申請します。記載必須事項は食品衛生法により定められているため、適合しているか確認しつつ記入しましょう。

完成した書類は、検疫所食品監視課窓口へ直接提出するか、郵送、またはFAINSによる電子提出も受け付けています。審査の結果、問題がなければ食品等輸入届出済証が発行されるという流れです。

まとめ

冷凍食品の輸入販売にあたっては、農林水産省と厚生労働省、そして税関の3つの省庁が関わっており、それぞれの法令に準じているか審査・検査が必要です。この手続き時に提出する書類のなかには、輸入者自身で作成するもの以外に、仕入れ先から送付されるものもあります。書類が不十分な場合は、仕入れ先に問い合わせておきましょう。

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