冷凍倉庫を建設するときは、庫内の温度を一定に保つ仕組み作りが大切です。その他にも、作業用の動線を考えるなど、考慮すべき要素がたくさんあります。
そこで今回は、冷凍倉庫を建設するときのポイントをご紹介します。冷凍倉庫の建設を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
冷凍倉庫を建設するときに必要な構造設計
冷凍倉庫を建設するときは、さまざまな要素を考慮する必要があります。規定に従って設計する必要があり、基準も定められています。具体的にどのような設計が求められるのか確認していきましょう。
- 消化・防火構造
- 防水構造
- 床の強度
- 防犯装置
- 通知設備
それぞれ順番に解説します。
消火・防火構造
倉庫を建設する際は、防火構造を意識して設計する必要があります。消防法第17条では、倉庫は消防法防火対象物とされているため、基準に従った設備が必要です。消化器具を指定エリアに設置することも義務付けられているため、事前に用意しておきましょう。
また、火災が発生した場合を想定し、扉の周りにスペースができる設計も大切です。扉の周りが狭いとスムーズに外に出られません。扉の付近はなるべく広いスペースを確保しておきましょう。
防水構造
雨水の浸透を防ぐために、防水を意識した建設も大切です。倉庫の屋根や外壁の構造は基準が決められており、国土交通大臣から「構造及び設備が倉庫内への水の浸入を防ぐもの」と基準が定められています。
また、雨樋(あまどい)と呼ばれる屋根の水を下に流すための装置も義務付けられています。雨樋を設置すれば自然と水が流れてくため、屋根に雨水が貯まることもありません。商品の雨濡れや庫内の浸水を防ぐためにも、基準に適合した防水構造を意識しましょう。
床の強度
冷凍倉庫の建設において床の強度を上げることも欠かせません。決まりとして、床は3,900N/㎡以上の積載荷重に耐える強度で仕上げる必要があります。大きい冷凍商品を多く保管するためにも指定された強度に適合した床に仕上げましょう。
床の強度については「倉庫業法施行規則等運用方針」で定められているため、より詳しく基準を知りたい方はコチラから確認してみてください。
防犯措置
セキュリティーを強固にするため、防犯設備の設置も大切です。部外者が夜間に侵入できないように、倉庫の出入り口には照明機器を設置しましょう。具体的には、人の動きに反応するセンサーライトがおすすめです。部外者の侵入を光で防ぐことができます。
また、倉庫の出入り口には施錠できる扉の設置がおすすめです。暗証番号や従業員専用のICカードで開くタイプの扉があり、営業時間外に開くとブザーが鳴るタイプの扉もあります。
通知設備
倉庫を建設するときは、庫内に閉じ込められる事故を防ぐために通報機の設置が義務付けられています。通報機は庫内の温度に関わらずしっかり作動するものを選びましょう。
また、倉庫内が消灯された状態でも通報機の位置が確認できるように、庫内には点灯物も設置しておきましょう。LEDの蛍光灯を24時間稼働させれば、暗い庫内でもしっかり通報機の位置を確認できます。
冷凍倉庫(冷蔵倉庫)の建築に必要な施設設備基準は以下より確認できます。より詳しく確認したい方は、参考にしてみてください。
冷凍倉庫を建設するときのポイント
冷凍倉庫を建設するときは、庫内の環境が整うように設計しましょう。ここでは冷凍倉庫を建設するときのポイントを5つ紹介します。
- 適切な温度管理
- 冷気の循環
- 作業しやすい動線
- 倉庫内の霜・湿気対策
それぞれ順番にポイントを解説します。
適切な温度管理
まずは温度を適切に設定できるように環境を整えましょう。庫内の温度を一定に保つには、エアコンや温度計の設置が欠かせません。倉庫に合った適切な温度で管理すれば倉庫全体をムラなく冷やすことができます。
また、搬入口にはドッグシェルターの設置も効果的です。ドッグシェルターを設置することで、外気との温度差が生じることなく商品の搬入・搬送ができます。湿気や雨の侵入も防げるため、庫内の環境もクリーンに保てます。
冷気の循環
商品の冷凍ムラを防ぐために、冷気が倉庫全体に循環するような仕組み作りが大切です。すべての商品を均等に冷却するために、ファンを設置してもいいでしょう。
また、特定の場所に冷気が当たり続けてしまうと、商品の冷凍焼けが発生します。商品の鮮度が下がればクレームに繋がってしまうので、倉庫全体に冷気が渡るように設計しましょう。
作業しやすい動線
作業しやすい動線を確保することも重要です。特にピッキング作業は倉庫の中を行き来して商品を探すため、効率的な作業が求められます。動線を整えることで、効率良くピッキングができ、荷造りされた商品もスムーズに出荷できます。
また、従業員が倉庫内に滞在する時間を短くすることも可能です。効率的な動線を設ければ、生産性も上がり作業時間を短縮できるでしょう。-20℃〜-60℃の庫内で働く従業員の体調管理もできます。
倉庫内の霜・湿気対策
倉庫内に霜や湿気が溜まらないように設計することもポイントです。床、壁、天井は断熱性の素材で構築すると良いでしょう。断熱性の素材は室内の温度を一定に保つ効果があるため、霜や湿気の発生を抑えることが可能です。
また、食品を扱う冷凍倉庫であれば霜や湿気の対策は必須と言えます。庫内に結露が発生すると雑菌が繁殖し、その雑菌が商品に付着するかもしれません。衛生管理を徹底するためにも倉庫内の霜・湿気対策は必ず行いましょう。
倉庫内で使用する器具
倉庫内で使用する器具はすべて低温に対応したものを選んでください。通常の倉庫で使用するコンピューターやマテハン機器では、すぐに故障してしまいます。そのため、氷点下の温度でも耐えられる器具を準備しておきましょう。
また、フォークリフトに関しても低温に対応した機種を選んでください。倉庫業においてフォークリフトは必要不可欠なものです。庫内で設置する器具と同じく、フォークリフトも氷点下に対応したものを選びましょう。
浜松委托運送の冷凍倉庫の特徴
冷凍倉庫の設計や運営にはさまざまな工夫が必要です。当社、浜松委託運送では下記のような取り組みを行い、冷凍倉庫を運営しています。
- 1日2回庫内の温度を記録する
- ファンの設置位置を均等にする
- 冷凍倉庫用のリフトを使用する
当社では、適切な温度管理ができるようにファンを均等に設置しています。また、日によって温度差が生じないように1日2回の温度検査も実施しています。
また、冷凍倉庫用のリフトも導入しており、作業効率を向上させることができました。動線の確保だけでなく冷凍倉庫用の備品も多く設置しています。
まとめ
本記事では冷凍倉庫を建設するときのポイントを解説してきました。
冷凍倉庫の建設には、さまざまな規定が設けられています。「倉庫業法施行規則等運用方針」で定められている項目も多いため、規定を確認しながら建設を進めていきましょう。
また、倉庫内の環境が整うように設計することも大切です。商品の冷凍焼けが発生しないように、冷気がしっかり循環する仕組みを作りましょう。
この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら