ネステナーとは?ネステナーのメリット・デメリットや選び方も紹介

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物流倉庫において、ネステナーは荷物を効率的に保管するために使用されています。ただし、ネステナーには種類があり、倉庫の状況に合わせて適切なものを選ばなければなりません。最適でないものを設置してしまった場合、ネステナー同士を重ねられずスペースを圧迫したり、肝心の商品が置けなかったりするケースも考えられるためです。

本記事では、ネステナーの種類やメリット・デメリット、導入時の適切な選び方を解説します。物流倉庫の最適化や在庫管理方法の見直しをお考えの方は、参考にしてみてください。

 

■この記事でわかること

  • ネステナーの概要
  • ネステナーを活用するメリット・デメリット
  • ネステナーを選ぶ際のポイント

ネステナーとは

ネステナーとは、多段積み可能なスチール製の収納棚のことを指し、ネスティングラック・ネスラック・スタックテナーなどの名称で呼ばれることもあります。倉庫など多くの貨物を保管する場所で多く活用されており、荷役台であるパレットと一緒に用いるのが一般的です。

ネステナーは一つあたり約1,000kg程度の耐荷重性能があり、ネステナー自体の背が高くなるにつれて耐荷重性能は低くなるといった特徴があります。ただし、一つあたりの耐荷重は1,000kgでも、二段で使用すれば2,000kgまで、三段で使用すれば3,000kgまでと乗せられる荷物を増やすことも可能です。

ネステナーの種類

ネステナーは、主に以下の3種類で構成されており、物流倉庫の状況に合わせて使い分けが必要になります。

  • 正ネステナー
  • 逆ネステナー
  • 特殊なネステナー

それぞれの特徴をチェックしてみましょう。

正ネステナー

正ネステナー

正ネステナーは、荷物を置く部分が下側にあるタイプです。フォークリフトを使用することで、ネステナーそのものと荷物を同時に動かせる点が大きな特徴に挙げられます。このため、倉庫のレイアウト変更などの全体的な移動が必要な際にも、動かすためにわざわざ荷物を降ろす必要がありません。

レイアウト変更が頻繁にある倉庫や、荷動きが多い商品などに対して便利に使えるでしょう。

逆ネステナー

逆ネステナー

逆ネステナーは正ネステナーと反対で、荷物を置く部分が上側にあるタイプを指します。一つのネステナーで二段積みが可能であり、天井が低い倉庫でも使いやすいのがメリットです。コストパフォーマンスにも優れており、比較的安価に導入できます。

ただし、荷物が平置きになってしまうため、正ネステナーのようにフォークリフトでの移動はできません。荷物の移動に手間がかかってしまうぶん、倉庫内のレイアウト変更が頻繁に発生する場合にはあまり向いていないといえます。

特殊なネステナー

ネステナーのなかには、上下に段があって荷物の置ける面を選択できるものや、正ネステナーのフレームにパレットを置けるステージ付きのものなど、特殊なタイプも存在します。状況や荷物に応じて乗せ方を選べたり、正ネステナーでも二段積みができたりと使い勝手が良いものもあるため、場合によっては特殊ネステナーを使用することで利便性が増すでしょう。

ネステナーを活用するメリット

倉庫内におけるネステナーの活用には、大きく以下2つのメリットがあります。

  • 省スペースで大量の商品を保管できる
  • レイアウト変更をしやすい

このように、導入することで物流業務の効率化を図れるでしょう。

省スペースで大量の商品を保管できる

ネステナーは、ネスティング(入れ子)ラックとも呼ばれるとおり、入れ子構造で作られています。最大四段まで積み重ねられる構造になっており、それぞれの段に荷物を乗せて使用が可能です。ラックを置いてしまうとフォークリフトの動線が悪くなるといった場合でも、ネステナーはスペースを有効活用できます。

また、ネステナーを使わないときには重ねてしまっておけるため、倉庫内で場所を取らずに保管できる点も魅力です。倉庫スペースの確保や維持にはコストがかかるため、物流コスト削減の効果も見込めるでしょう。

レイアウト変更をしやすい

ネステナー設置時にはアンカー固定が必要ない(床に固定されていない)ため、配置を自由に変えられることもメリットの一つです。上記で触れたとおり、正ネステナーではネステナーと荷物の同時運搬が可能になっています。そのため、柔軟に配置を変えることができ、季節や需要変動によってレイアウトの変更が激しい倉庫にも対応しやすいでしょう。

ネステナーを活用する際のデメリット

ネステナーは倉庫内の状況によってタイプの使い分けが可能であり、省スペースに貢献するなどのメリットが期待できますが、一方で以下のようなデメリットも存在します。

  • 置ける商品のサイズが限られる
  • 段積みするとバランスが悪くなる

デメリットを理解せずに導入すると、うまく活用できないばかりか危険な使い方をしてしまう恐れもあるため注意が必要です。

置ける商品のサイズが限られる

ネステナーは、耐久性を保つため一本の支柱で支える作りになっており、一つのみの使用では高さ調整ができません。つまり、ネステナーを重ねず使用する場合、その内寸より長尺の商品は置けないのがデメリットです。このためネステナーを導入する際は、保管する商品に合わせて適切なサイズのネステナーを選ぶ必要があります。

段積みするとバランスが悪くなる

高積みした場合、幅に対して背が高くなりすぎてしまうために、上段に重量物を乗せることでバランスが悪くなる場合があります。よって、ネステナーを重ねて使用する際は、積載物の重量バランスを考慮しなければなりません。

また、アンカー固定がなく配置を変えやすいメリットがある一方で、床に固定されていないことから地震などの揺れに強くない点もデメリットとして挙げられるでしょう。重たい荷物が崩れると大きな事故につながりかねないため、積み方には十分注意しましょう。

ネステナーを選ぶポイント

メリット・デメリットをふまえてネステナーを導入する場合、以下5つのポイントを確認のうえで選ぶことが大切です。

  • パレットを保管する際に余裕ができるサイズを選ぶ
  • 適切な積み重ね方式を選択する
  • 耐荷重に耐えられる床が必要
  • 積み上げ段数を決める
  • オプション品を活用する

順に詳しく見てみましょう。

パレットを保管する際に余裕ができるサイズを選ぶ

ネステナーとパレットのあいだには、一定のクリアランス(隙間)を確保しなければなりません。そのため、サイズを見ずに選んでしまうと、新しくパレットかネステナーの準備が必要になる場合があります。

ただし、極端に隙間を開ければ良いというわけではなく、隙間がありすぎると積載効率低下、荷崩れなどのリスクがあることを念頭に置いておきましょう。ネステナーを選ぶ際は、適切なサイズを算出してから導入するようにしてみてください。

物流倉庫のなかにはオーダーメイドでネステナー制作依頼しているところもあり、浜松委托運送では、縦方向に長さがあるネステナーを使用しています。

適切な積み重ね方式を選択する

ネステナーの積み上げ方式には、上ピンタイプと下ピンタイプ、レールタイプが存在します。同サイズのネステナーであっても、タイプが異なる場合は積み重ねられません。

上ピンタイプは下部に、下ピンタイプは上部に向けてピンが飛び出ており、それぞれ飛び出ている凹凸を噛ませて積む必要があります。レールタイプはレールを噛ませて積み上げるため、ほかの形式に比べて安全性が高く、正ネステナーでの採用が多いのが特徴です。積み重ね方式に迷う場合には、ひとまずレールタイプを検討すると良いでしょう。

耐荷重に耐えられる床が必要

ネステナーは何段も積み重ねて使用できますが、そのぶんの床の強度が必要になります。ネステナーそのものはそれほど重くないものの、ネステナーに乗せる貨物の容量分や、ネステナーの特性である縦の積み上げによる重力がかかる点に注意しなければなりません

一般的なネステナーを一つ設置するのであれば耐荷重1,000kgですが、重ねて使用する場合には2,000kg以上の重さになりうることをふまえ、床の強度を確保する必要があります。

積み上げ段数を決める

使用するネステナーの高さによって積み上げ可能な段数が異なるため、積み上げたい段数に合わせてネステナーの高さを選ぶ必要があります。一般的な1〜2mの高さのネステナーは三段まで積み上げられますが、1m前後のものなら四段まで積むことが可能です。一方で、2m以上のネステナーは二段積みまでが限界になるでしょう。

ネステナーの高さが上がると、耐荷重性能は500〜700kg程度まで小さくなってしまい、結果的に乗せられる荷物が減る可能性もあります。ネステナーの高さを確認する際は、積み上げ段数とともに耐荷重性能が許容範囲かどうかにも気を配ってみてください

オプション品を活用する

ネステナーには数多くのオプションが存在しており、活用することで安全性や収納性、利便性などが向上します。オプション品には以下のような商品が挙げられます。

  • パレトップ:正ネステナーに装着することで荷物棚を一段増やせる
  • 連結パレット:隣接するネステナーと連結し、広いスペースを保管棚として使える
  • 中間棚:中間に設置することで収納効率が向上する
  • フォークガイド:フォークリフトのフォーク部分がずれないようにするガイド
  • 耐震マット:床に敷いてネステナーの耐震性能を高める

例えば、正ネステナーの荷物棚最上部に設置できるパレトップでは、ラックを増やすことで乗せられる荷物の幅も広がり、より多くの荷物を保管できます。ほかにも段積みする場合には、地震の揺れによる事故を防ぐため、耐震性能を高める耐震マットの活用も検討しましょう。

まとめ

ネステナーは、物流倉庫や工場などで活用されているスチール製の収納棚です。フォークリフトでネステナーごと荷物を移動できるもの、二段積みや三段積みで使用できるものなどがあり、倉庫の状況によって柔軟に活用が可能です。

ネステナーで貨物を管理した場合、倉庫内のレイアウトが変更しやすくなったり、省スペースながら多くの商品を保管できたりといったメリットがあります。一方で、置ける商品のサイズが限られることや、段積みによって崩れる危険性があるなどのデメリットもあるため、用途にあったネステナー選びが重要です。

浜松委托運送では、縦方向に長さのあるネステナーを導入しており、倉庫内スペースを効果的に活用しながら生産性アップを図っています。倉庫内業務のアウトソーシングも承っておりますので、在庫管理の最適化にお悩みの方は、ぜひ浜松委托運送にご相談ください。

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