今「マルチテナント型物流施設」が注目の的!人気の理由を詳しく解説。

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自社で構えていた倉庫が手狭になったり、老朽化して耐震基準に合わなくなったりすると、新築や改装を考えるより、賃貸型の倉庫を借りる方がコスト削減につながることもあります。

また、道路網が整備され、交通の流れなどの環境が変化することを考慮すれば、状況に合わせて場所を選ぶことができる賃貸物件の方が安心感もあります。

倉庫だけでなく、物流そのものをアウトソーシングして自社のコアビジネスに集中する事業所も増えてきました。そして、その物流の形もどんどん変わりつつあります。
今、首都圏を中心に注目されているのが「マルチテナント型物流施設」と呼ばれる、新しい物流倉庫のカタチです。

このコラムでは、人気上昇中のマルチテナント型物流施設について、どんな倉庫なのか、利用するメリットやその導入コストはどうなっているのかなどについてご紹介していきます。

今注目される「マルチテナント型物流施設」とは

今、熱い視線を浴びているマルチテナント型物流施設。一体どのような施設なのでしょうか。

「倉庫」と言えば商品を保管することを目的としたものでしたが、1990年代からは、倉庫内で加工ができたり、高性能の機器を取り入れたりして付加価値を付け、倉庫からそのまま配送できる「配送型物流施設」が主流となってきました。

ECビジネスの隆盛で、メーカーから消費者に直接販売する形式(B to C)が増え、多様な商材を扱うようになると、倉庫はより大型化する半面、消費者一人ひとりに合わせた物流を工夫する必要に迫られます。
効率化のためITが利用されるようになり、DX(デジタルトランスフォーメーション)なども導入されるようになると、もはや倉庫はそれまでの「荷物が積まれた暗くて埃っぽい場所」のイメージではなくなってきました。

そんな中登場した「マルチテナント型物流施設」。至極簡単に言えば、マルチテナント型物流施設は「物流業者のための分譲マンション」です。倉庫を手に入れたい荷主企業が入居する巨大な物流施設なのです。

 

今までの倉庫とはここが違う

荷物を保管することが主流だったこれまでの「倉庫」と比べ、マルチテナント型物流施設が決定的に違うのはその大きさです。

マルチテナント型物流施設の敷地面積は、小さいものでも2万平米(東京ドームの半分ほど)を超え、大きいものになると、なんと10万平米以上(東京ドームと甲子園球場を合わせたほど)、しかも4階建てという途方もない大きさのものもあります。

同じフロアに荷主企業数社が同居するので、柱スパンやトラックの導線などはゆったりとしたスペースがとってあり、レイアウトの自由度が高い構造になっています。
階層構造でもトラックやトレーラーがそのまま横付けして荷役ができるよう、ランプウェイやトラックバースも備えています。

マルチテナント型物流施設は、その設備も充実。耐震や防火、空調など防災設備も整っています。
荷主企業のニーズによって、倉庫機能だけでなく、事務所、コールセンター、データセンターのほか、カフェテリアや託児施設などを備え付けることもできます。

主企業によって個性が出るので、まるで大型ショッピングセンターに見るような充実した施設となり、物流とは関係のないお客さまも、カフェテリアを利用するため足を運ばれるということです。

 

マルチテナント型物流施設を使うメリット

マルチテナント型物流施設を使う大きなメリットは、さまざまな設備が充実していることです。

1棟を1社で使う倉庫では、荷役のためのフォークリフトや人員など、自社のためだけにそろえる必要がありますが、マルチテナント型では、設備を共有することができるため、コスト削減につながります。
また、物件によっては、建物内にコンビニやレストラン、託児所、上述したようなカフェテリアなどの商業施設も入っており、まるで一つの街のようになっています。外に出なくても用が足りるというのは、雇用されるスタッフにとっても利便性が高くなります。
また、すでに形が整っている建物を賃貸するので、必要があればもっと利便性の高いところに、すぐにでも引っ越すことができます。

今、マルチテナント型物流倉庫の人気に鑑み、さまざまなデベロッパーが新たな施設を建設しています。
立地場所や設備など、自社のニーズに合わせて選ぶことができ、すぐに入居できるのがマルチテナント型のメリットです。

 

大手ハウスメーカーも参入!物流からまちづくりへ

マルチテナント型物流施設には、大手ハウスメーカーが力を入れていることも特色の一つです。

中でも大和ハウスでは、早くからマルチテナント型物流施設の有効性に目を付け、その建設を推進してきました。
これには、ハウスメーカー独自の土地開発のノウハウが大きな強みとなっていると聞きます。
巨大な施設を作るには広大な敷地が必要で、しかも物流施設を誘致するには道路の整備も欠かせません。
これだけ広い地域を開発するには、自治体との協力関係も必要です。

マルチテナント型物流施設を誘致する自治体では、建設する地域を中心にしたグランドデザインを作り、物流を中心としたまちづくりに着手しています。
人口減が進み手入れをされなくなった遊休農地などをまとめて開発し、マルチテナント型物流施設を誘致することによって、そこで働くスタッフが増え、それが人口増にもつながります。

住宅メーカーのノウハウでさまざまな福利厚生施設を備えたマルチテナント型物流施設は、それまでの倉庫の概念を覆し、清潔で明るく、便利で働きやすい施設として、求職者にも人気の職場となっています。

求人が難しいと言われる物流業界ですが、まさにそのイメージも覆し、まちづくりの中心となる施設へと生まれ変わっているのです。

導入のコストは?

いいことづくしのマルチテナント型物流施設ですが、その導入コストはどれくらいかかるのでしょうか。

ほとんどのマルチテナント型物流施設で、倉庫としての利用の場合、一般的に都市部に近い場所では常温で坪単価は5,000円前後、事務所としての利用の場合は8,000円前後となっているようです。
そのほか、入居に当たっての敷金が10ヶ月分前後などとなっていますので、自社に必要なスペースに合わせて試算してみるとよいでしょう。

マルチテナント型物流施設は「ハイグレードマンション」のように導入コストが高いと思われているようですが、自社に合わせた面積を賃貸できることと、共用できる設備が多いこと、高速道路等利便性の高い場所の大規模物流施設を複数年契約で不動産賃貸として借りることができるメリットがあります。

 

まとめ

物流業界で注目されているマルチテナント型物流施設についてご紹介してきました。
マルチテナント型物流施設は、言わば物流のための分譲マンション。坪単位で賃貸できるため、必要があればすぐにでも契約して借りることができます。

まちづくりと一体となって開発されているので、交通の利便性が高く、施設自体にさまざまな機能が備わっている上、清潔で明るく、スタッフの満足にもつながっています。
ECサイトの隆盛に合わせたDX(デジタルトランスフォーメーション)も進んでおり、AIやIoT、ロボティクスの導入など、最新のハイテク機器が導入され、テナント企業の業務効率アップに寄与しています。

自社のニーズに合わせた立地条件や設備内容を選べるので、倉庫の新築または賃貸を検討していらっしゃる方は、マルチテナント型物流施設についても考慮されてはいかがでしょうか。

 

浜松委托運送では、荷主企業様のご要望に合わせた物流形態をご紹介しております。
これからの物流のあり方を見据えたさまざまなアイデアをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

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